ミーナと、朋子、ポチ子の行進
★★★★★
読んだ後、涙があふれて、暖かい気持ちになれて、
とてつもない希望が見えてくる、そんな物語でした。
中学1年生になる朋子は、シングルマザーである母が手に職をつけるため
1年間東京で勉強することになり、その間、
親戚のおうちに預けられることになりました。
芦屋にあるそのおうちは、今で言う超セレブ。17のお部屋を持つ洋館に、
お手伝いさんの米田さん、家主であり飲料会社の社長である伯父さんと、叔母さん、
伯父さんの母であるドイツ人の老婆、伯父さんとおばさんの子どものミーナ。
そして、ミーナを毎日小学校まで送迎するカバのポチ子、ポチ子のお世話をする小林さん。
ここの住人達は、時にすれ違いながらもお互いを思いやる愛にあふれ、
そんな家族の中で朋子はミーナと素敵な1年を過ごします。
ミーナは喘息を病み、小さな細い体で体力もないけれど
本をたくさん読み、素晴らしい想像力の持ち主。
朋子は、病弱なミーナに代わって、彼女の読みたい本を図書館に借りに行きます。
その図書館の司書であるとっくりさんが、朋子に語りかける言葉が、
とてもとても印象に残る言葉たちです。
小さなミーナは、やがて大きな力を蓄えて、一人で行進できるまでになっていきます。
そこまでの過程を見守るのが、読者の役目です。
ミーナの行進と共に、やさしさと郷愁がふりそそぐ
★★★★★
2006年の小川洋子さんの作品ですが、これほど完璧にそれでいて控え目にやさしさと郷愁を歌い上げた作者の
想像力と大胆さに素直に感動させられた作品です。
病弱ながら裕福な家に生まれ、暖かい人々に見守られて育ったいとこのミーナと、その家に一年間だけあずけられた
主人公の日々が淡々と綴られます。センセーショナルな事件も大恋愛もありませんが、宝箱の中にそっとしまわれていたかのような
物語は、無条件に心に清涼感を与えてくれます。
二人が共に過ごした日々は、懐かしいお菓子と本と動物たちに囲まれ、家族は誰一人欠けることなく、永遠に続くかのような
幸せのマーチが鳴り響いているようです。
読めばきっと、幼いころの懐かしい人に会ったような気持ちになれると思います。
ちょっと期待しすぎちゃった
★★★☆☆
小川洋子さんの紡ぎだす言葉の美しさや、独特の世界に引き込まれ
あっという間に読んでしまった1冊。
本書は岡山の少女、朋子が芦屋の洋館に住むいとこのミーナとその
家族のもとで1972年の1年間を過ごす物語だ。
読者は朋子の目線で、それぞれに心の置き場所が違うミーナ一家の
生活をのぞき見ることになる。
わたし自身、芦屋に住んでいるので地名・店名など、身近に感じる
部分が多い反面、殺伐とした現代からは遠い、夢のような話だとも
思った。
先日、機会があり、郷土の歴史家にお会いしたら、ミーナのモデルや
動物園は実在したとのこと。
まだ本を読む前だったので、期待いっぱいで購入した。
本当に美しい、繊細な文章が連なり、誰もが持つ少女時代の
夢のような一瞬一瞬が封じ込められているような気がした。
特にミーナのマッチ箱のお話は秀逸だ。
70年代を懐かしむ本としてもすごくいいと思う。
ただ、ストーリーに関しては「大きな感動が待っているはず!」と
期待しすぎてしまったわたしには正直、物足りない気がした。
特に「誰も欠けてない...」などの表現は、読者をミスリーディング
するのではないだろうか。
さらに言うなら、他の方も指摘されているが、ユダヤ人は
クリスマスを祝わないのだが...。
クリスマスの場面が話にそぐわず、読みながら強い違和感を感じた。
ミーナの行進
★★★☆☆
「博士の愛した数式」に感動して続いて手に取ってしまったが
期待が大きすぎたのか、いまいちとらえどころがなくて不完全燃焼的な本だった。
ミーナが元気に成長していて安心した。
成長物語
★★★☆☆
岡山で暮らす少女が
芦屋ですごした1年の物語
懐かしくも
ほのぼのした
そういう世界をお楽しみください。
大人の事情の中で育つ子供の側面を
思いだすことができます。