小鳥ちゃんとぼくと彼女と
★★★☆☆
この作品には固有名詞が出てこない。
地名も、人名もなし。
登場人物は「ぼく」だったり、ぼくの「彼女」だったり、「小鳥ちゃん」だったり。
小鳥ちゃんだけが強いて言えば「小鳥ちゃん」という固有の名前を持っていると言えるかも知れない。
小鳥ちゃんの持つ強い意志と自由さが魅力的にも映る。
どこの国の話かも分らない不思議さは著者の狙い通りだろうなという気がして、
小鳥ちゃんとぼくと彼女とのまじりあわない関係の不思議な三角関係の日常を
固有名詞なしで描いてることで童話的な不思議さで包むことに成功しています。
そこに面白さを感じますが、同時に読んでいるとき頭の中でイメージを映像化しにくいという
もどかしさも感じます。
「小鳥ちゃん」は「妹」?
★★★★★
私は男なので「ぼく」に感情移入しながら読みました。すると、「小鳥ちゃん」は「ぼく」の「妹」のような感じがしました。だから、3人は俗にいう「三角関係」ではありません。「小鳥ちゃん=妹」が「ぼく=兄」のガールフレンドにちょっとやきもちをやいてしまう、そういう可愛らしい関係だと思います。なので、スケートの場面がいちばん好きです。本の中で、この場面がいちばん3人が仲良くしている感じが伝わってくるからです。小鳥ちゃんのために靴下を編んであげる「ガールフレンド」も優しくて好きだし、そのスケート靴で無邪気に楽しくスケートをすべる小鳥ちゃんも可愛くて好きです。それから、小鳥ちゃんが「あたしはあなたの小鳥ちゃんよね」と確かめるところも可愛くて好きです。ほかにもたくさんありますが、やはり他の方々同様、読み終わった後、何度もめくり返してしまいました。おすすめです。
大嫌い!!
★☆☆☆☆
この本を読むとイライラしてくる。女性の対象を自分に振り向かせようとする強引さ・自分に献身させようとする傲慢さが嫌いだ。この話では、「ぼく」の彼女という既に「ぼく」を振り向かせている人物と、新たに「ぼく」を振り向かせた女性的人格を持った小鳥がいて、その間でどちらにも献身しなければならない「ぼく」を思うと「ぼく」は不憫だなと思う。不倫・三角関係を童話チックに描いたといってもいいのかもしれない。しかし、彼女と小鳥なので基本的に互いがぶつかり合うこともない。そういう意味では男性にとって理想の不倫関係・三角関係かもしれない。現実の世界ではありえないことではあろうが。女性のわがままさ・傲慢さに翻弄させられる男性の「ぼく」があまりにもかわいそうに思えてくるので、大嫌いな本です。
かわいらしい
★★★★☆
小鳥ちゃんはわがままだけど、かわいらしいです。
本当はやさしさがあるのに、ちょっと意地っぱりでわがままな女の子のようです。
「ぼく」の彼女を気にしている様子が、本当に女の子のよう。
小鳥ちゃんには自分なりの考え方があるようで、ハキハキした小鳥です。
そんな小鳥ちゃんをちょっと嫌だと思う人もいらっしゃるかもしれませんが、私は少しあこがれました。
寒い冬の日に。
★★★★★
突然寒い冬の日に舞い込んできたおしゃまな小鳥ちゃんと僕とのささやかな日常が
江國さんらしいなんともいえない透明感があってかわいらしく、せつなく、
寒い冬の日に暖かい部屋であったかい飲み物を飲みながら読み返したくなる、お気に入りの本のひとつです。