お遍路の真実
★★★★☆
真言宗僧侶でもある著者の歩き遍路の記録。「つなぎ遍路」とは、一度にではなく、何回かに分けて八十八ヶ所を廻ること。
ガイドブック的な使いやすさ・分かりやすさはないが、歩き遍路ならではの、トイレの有無や道の選択についてのアドヴァイスなど、貴重な情報もある。ただし、総合的な情報などは、まとまって書いているわけではないので通読する必要がある。
この本の美徳はむしろ、お遍路の道中出会った、善意の人々とともに、心無い人々のこと、そしてそれに対する率直な怒りの念を書き記していることだ。当たり前のことながら、お遍路もキレイゴトばかりではない。それにもかかわらず、読むものに、お遍路への出立をかきたてる力のある一書である。
歩き遍路をされた方の文章を読んだだけでもパワーをもらえる
★★★★★
八十八ヵ所通して歩くには数十日かかる。働いている人ができる「歩き遍路」は、二泊三日くらいのつなぎ遍路である。すなわち、何回かに分けて小刻みに区切って、結局は全部行くのである。1月にスタートして、12月結願を目指して始めたようである。
第20番鶴林寺で1回目を終えている。帰宅して3日間のたうちまわるほど足の痛みに苦しんだという。慣れない人の歩き遍路の大変さが分かる。ただ苦を行(ぎょう)と観じて、更にまたつなぎの歩き遍路を続けるのである。
歩き遍路をしていると、心も体も鍛えられる。そして、自信も与えられる。「世俗では得られない大きなパワー」が知らない間に宿っているという。「行」で得られるパワーは計り知れない。なかなか、我々歩き遍路などできないが、この本を読んだだけでも、少しばかりパワーをもらった気がする。