インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

オチビサン 3巻

価格: ¥630
カテゴリ: 単行本
ブランド: 朝日新聞出版
Amazon.co.jpで確認
単なるのどかな叙景詩なのか? ★★★★☆
別にこの作品に飽きたのだとは思わない。今も毎週の連載を楽しみにしているし、こうして単行本になってみると一段ときれいな彩色であるし、子どもの頃まだあった日本らしい日本の情緒を追憶することができる貴重な作品である。しかしこの第3巻、私は十分に堪能したとはいえない。もちろん夏祭りの夢のように(p.36)素晴らしい回も少なからずあるのだけれど。

この作品に対する私の思いはまったく勝手なものであって、すでに書いたとおり、私はこの作品の世界を、この世では恵まれずに死んだ子ども達の幸福な来世として見ている。私の意見に対する賛否が完全に二分されているのは興味深いが、「否」の方には恐らく、「何もそこまで異常な設定をしなくても」という穏便派に加えて、この作品を単に「ほっこりのどかな叙景詩」としてみているナイーヴな人々(私は本当は「ほっこり」という安易な形容を好まない)、それに、自分と違う意見には極端に反発する度量の狭い人々も含まれているのだろう。本巻を読み終えた後も、私の印象は変わらない。しかし、確信はやや揺らいだ。

オチビたちは単に、季節の風物の紹介者に成り下がっている。これでは単なる歳時記ではないか。実在の地名まで出して、読者を現実に引き戻すのは興ざめではないか。

「ほっこりのどかな叙景詩」説が正しいのだとしたら、この作品の将来はそう長くない。オチビたちにガイド役をあてがうのは止めにして欲しい。私が望むのは彼らの幸福な生活の情景である。
日本の年がまた巡る ★★★★☆
 新聞の日曜版で連載している作品をまとめた、年に一冊の『オチビサン』3巻です。
紅白ボーダーのオチビサン、知りたがりの黒犬ナゼニ、食いしん坊の茶犬パンくい、
いたずら猫のジャックに和服が素敵なじいさまのおじい。彼らが暮らす豆粒町に
また一年が来て過ぎ去っていきます。
 今巻も、お話の中心として、あるいは漫画の背景として、日本の四季と風景が
色濃く薫ってくる素敵な本になっています。個人的には、宵闇の夏祭り、
曇天の下の海、枯れた味わいの冬の池、そして最後の妖艶な夜桜の光景に
やられました。どこかで見かけて、肌で感じたいつかの思い出が、ページを繰るたびに
蘇ってくる気分でした。

 扱う題材に合わせて色彩の使い方やタッチが、ちゃんと少しずつ変えられて
いるように感じました。一つのスタイルに頼らずこだわらない描き手の技術に、
風景と世界もさまざまな表情を見せることでこたえています。安野さんという
漫画家さんと日本の光景という題材は、実に幸せな出会いと言うべきでしょう。
読み終わったら今度は自分が外に出かけて、自分の目で「日本」を味わいたくなる、
そんな漫画です。