こ、これは...
★★★★★
ほかの方同様、私もこの録音・演奏のすばらしさは大きく評価したい。朝比奈翁の第九はいったいいくつあるのかというほどあるが、おそらくこれはトップにくるのではないか。とても代役で振ったとは思えない、自分の第九を振り切ったような印象を持つ。比較的インテンポに進むが、時代がかったり、無理やり重厚さを出そうとするといった衒いはまったくない。私はN響は日本最高のオケのひとつだと思っているが、まさにそれを証明している歴史的録音だと思う。
日本人の指揮者とオケの組み合わせで第九を選べといわれたら躊躇なくかつ自信を持ってこれを推す。
コーラスなしの第九が聴きたい!
★★★★☆
年末ではない時に第九をじっくりやりたい,という御大の希望が予期せぬ代役という形で実現した演奏.N響もブルックナーの第九以来10年近いご無沙汰で,演奏も力が入り一期一会感もある.全体の印象はこの少し後の新日フィルとの演奏に近いものだが,力感はこちらの方がはるかに上.3楽章までは文句なしに,朝比奈最高の第九といえるのではないか.終楽章はコーラスの音程がそろわないのと,アルト(伊原直子ー個人的には大好き)がバランス的に引っ込んでいるのが残念!そのせいかコーラスが入らない部分になるとほっとして,この楽章の接続曲的なバラバラな構成がより浮き彫りになる感じはする.だれか声楽なしの終楽章の編曲版をつくる作曲家はいないものか.
元気な朝比奈御大の骨太なベートーベン
★★★★★
第9はテンシュテットやクレンペラーのライブをこのところ聴いていましたが、さすがに朝比奈御大の第9は剛毅ですね。テンシュテットのパッションやクレンペラーの怜悧さの中に時折見られる熱さとはまた違った、豪胆さの中の熱気を感じました。78分と結構ゆっくりですが、もたついた感じもありません。ブルックナー、マーラー、ブラームスの生は聴く事ができたのですが、御大のベートーベンを生で聴きたかったとつくづく思います。