トスカニーニ畢生の名演が、本当に甦った!!! 少々高いが、これはお薦め!
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これは言わずと知れた有名な演奏、昔からトスカニーニの代表作といわれていたもの。しかし、今回の復刻は本当に見事! 名手揃いのオーケストラの美しいサウンドが、瑞々しく甦っています。昔から伝説的な存在だったNBC交響楽団の本当の姿を、やっと垣間見ることができる思いです。小生、子供の頃に、父親が戦後、シンフォニー・オブ・ジ・エアー(NBC交響楽団のメンバーが、解散後自主団体として継続したオーケストラ)を聴いて、その音の素晴らしさに圧倒されたという思い出話を繰り返し聞かされていたので、いつしかトスカニーニとNBC交響楽団という名前の組み合わせは、非現実的なぐらい凄いオーケストラの伝説となっていました。実際、この演奏を聴くと、凄い!!! これまで、随分トスカニーニのレコードは聴いていますが、時折、これは!と思わせるものはあるものの、悪名高いキンキンと堅い乾いたサウンドに、違和感を感じていました。今回の復刻、そうした違和感が一気に氷解! 値段は少々高いですが、このグレードの高さを考えるならば、納得!
情念
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今までCDで聴いてきたトスカーニの演奏は、
NBCかニューヨーク・フィルのものが多かった。
そしてそれらはストイックで「乾いた」鋭さを伝えていたように思う。
これがステレオならばと何度も詮のないことを想い、
時に隔靴掻痒のもどかしさを感じるものの、年代を考えて諦めていた。
しかし今回のローマ三部作には冒頭からショックを受けた。
予想もしていなかった潤いのある弦楽器の音。
それは瑞々しく艶やかでさえあった。今までのCD体験が一挙に過去のものとなった。
名手と銘器、そして曲目の意図するところを渾然一体とさせたうえで、
血のしたたるような野趣を突きつける展開も生々しく伝わる。
「聖」と「俗」の両極地を堪能させてくれる名盤。
マエストロや楽団員をはじめ、現代の職人さんたちの「音」への情念に満腔の敬意を捧げたい。