虚実ギリギリの奇術で見せた「透明怪人」伝説!!
★★★★☆
今回ばかりは、透明人間といふものが本当にあるやうなストーリーなのかなと一瞬思ってしまひました。これでもかこれでもかとばかりの叙述に幻惑された形です。最後になっての種明かしで成程と得心しましたが、今までの六巻で使って来た工夫された筋立て、展開のすべてを総動員してつくり上げた印象を感じました。そして、明智探偵と怪老人扮する二十面相の化かし合ひの錯綜展開は見事でした。唯、かうも苦心して「透明怪人」伝説をつくらうとも、設定の永続展開が苦しいフィクション性があり、二十面相が目指す野望にもある程度の蓋然性を高める必要があったのではないかと思ってしまひました。さうは言ってもぐいぐい読者を引き込む文体はさすがである。
「あるはずのものがない」不安
★★★★☆
冒頭から不気味さ・怪しさに満ちており,少年読者を物語に引き込む力を持っています。
大人の目から見ても,「透明怪人」のトリックは,なかなか見破れません。
最後に明智の謎解きがなされるのはパターン通りですが,今回のトリックは,やや肩すかしの印象を受けます。といっても,あくまで大人の目からはそう感じるだけで,子どもからすると十分トリッキーであると思います。
僕はかつて単行本のほうの読者で,挿し絵もそちらのほうで馴染んでいましたが,このシリーズの挿し絵もなかなか良い雰囲気を出しています。
現代の少年たちにとっては,こちらがスタンダードになっていくのでしょう。
長く残って欲しいシリーズです。
名作だからこそ、家にほしい
★★★★★
小学5年の男児にプレゼントです。
なにせ3億人が読んでいますから、面白いことは折り紙つきです。
ハラハラドキドキ、ぐいぐいと引っ張りこまれる内容に、子供の食いつきは非常に良好です。