そうして生き残ったタマゴから孵(かえ)った4匹のおたまじゃくしが、4匹のカエルになって、冬眠するまでの1年間を描いた1冊。1961年にアメリカで、1964年に日本で出版され、以後ロングセラーを続ける名作絵本である。
描かれるカエルの毎日はゆかいだ。もぐったり、泳いだり、遊んだり。時々、サギやカメに襲われそうにもなるけれど、すぐに隠れてやりすごす。しかも、そこに恐怖感はなく、あくまで遊びのひとつのよう。夏中、カエルは歌って遊び、冬になれば暖かい土の中で眠るのだ。
「生き物たちの動くフォームが、何よりの絵の教師だ」という作者の手によって描かれるカエルたちは躍動感にあふれ、あらんかぎりの生を謳歌している。青と緑だけで彩られたこの美しい絵本は、子どもだけでなく大人の心をもとらえる魅力にあふれた、ゆかいな1冊である。(小山由絵)