「ドリトル先生」シリーズの人気キャラクター、食いしん坊なブタのガブガブが書き上げた「食物百科全書」。本編では失敗ばかりの愛すべきキャラクターであるガブガブも、この番外編ではべっ甲のレンズなしメガネをかけて大作家を気取っている。ガブガブが毎晩、自らの著作を朗読して聞かせるその内容は、奇想天外な「食べ物語」だ。トマト戦争の話に、怪盗チリと名探偵シャーベット・スコーンズが活躍する食べ物ミステリー、壮大な食べ物叙事詩と全10話からなるおいしそうな話ばかり。
本編でもおなじみのオウムのポリネシア、イヌのジップ、サルのチーチー、アヒルのダブダブ、フクロウのトートーも登場し、本編のファンにはうれしい限りの番外編である。たくさんのしゃれやパロディの類がでてくるため、小学校高学年の読者には難しいと思われる箇所も多いが、そこは飛ばして読んだにしても十二分に楽しむことができるだろう。そして、大人になってもう一度この本を開いたならば、子どもの時には分からなかったおもしろさを再度発見できるに違いない。巻末には翻訳者によるパロディ部分の原語一覧表もついており、英和辞典片手に一覧表を見るという楽しみも用意されている。(小山由絵)