どのような文学のジャンルにおいても、そのナンバーワンを挙げろといえば議論百出、とても定まるものではない。が、「ファンタジー文学」に限りそれが存在する。トールキンの『指輪物語』だ。
舞台は妖精族や小人族の住む太古の世界の「中つ国」、ミドルアース。世界を破滅させる魔力を秘めた指輪を破棄するために旅に出た勇敢な小人ホビット族の若者、フロドの冒険譚である。まず、波乱万丈のストーリー展開が文句なしにおもしろい。無償の努力を続けるフロドは容易に読者の分身となって物語の世界を駆け巡るだろう。そして作品は長大(なんと文庫本で9分冊)。長いということは、それだけ長い時間読者は幻想の世界に遊ぶことができる。
著者トールキンは、オックスフォード大の教授で言語学、古文学、伝承学の碩学。彼の豊かな学識、教養に裏打ちされた1つの世界観ともいうべきものが、この長大な作品全体を力強く貫いている。
物語の核となるのは、冥界の王サウロンが作りだした不死の命とともに世界の覇者を約束するという指輪。指にはめたものの姿を消し、その心を虜にする。使ってはならぬ、とガンダルフに厳命を受けつつもその誘惑に何度もかられるフロドであった。同じく指輪の魔力に取り付かれ、奪い返さんと執拗に迫る地底の怪物ゴクリとの死闘に及ぶ最後には、意外な結末が…。
本国で初版以来約半世紀、日本でも30年近く愛読されているファンタジーの古典ともいえる存在だけに、トールキンの他の著作や各種解説書、作品事典なども数多い。興に及べば奥深いトールキンの世界に遊べるのも楽しみの1つといえよう。(祐 静子)
ファンタジーの原点
★★★★★
これはレビューというより、まったくの個人的な感想文だと思っていただきたい(もちろん参考にならなかった投票はOKである)。
私はこの作品を小学校の高学年から中学生にかけて読破し、虜になった。理解者は読書の師匠である母だけという悲惨な状態だったが、今でも折に触れて読み返し、ファンタジーの王道を行く最高峰の作品であると思うので、当然、星は五つだ。
ただね、何というか、ハリーポッターから始まった一連のブームには、少々うんざりさせられる。「指輪」だって「ナルニア」だって「ゲド」だって、ずーっと昔から書店にも図書館にもあったんですぜ、皆さん。「指輪」はともかく(でもこれだって岩波の児童書のところに並んでたんだけど)、他はみんな児童書だ。いい年こいた大人が映画につられて読んで、恥ずかしげもなく「感動しました」とか書いているのを見ると、ひねくれ者はつい「へっ」と思ってしまう。
あと、映画の題名ね。何で「指輪物語」じゃいけないのか。別に今さら日本語の将来を憂えたりはしないけどさ。
追補編が入ってなかった
★★☆☆☆
このセットは全9巻セットとありますが、これで全巻ではなく、このセットには入っていない「追補編」があります。
「追補編」には後日談等が載っており、本編の後に読むと物語のシナプスが繋がっていくのがわかります。
文庫版にはこの「追補編」も含めた、やはり箱入りの全10巻セットもあるので、まとめて読むのでしたらそちらをお薦めします。
私みたいに後悔しないように。
無題
★★★★☆
映画が公開された当時、古本屋に第一巻だけが大量に出回っていて苦笑してしまった。
序文の読者にとって未知の固有名詞だらけの解説が原因かと思われるが、最大の問題はこの物語の叙述にですます口調が似合わないからではないだろうか。
三部作の映画の公開が終わって大分になるからかなわないことだと思うが、新訳を希望する。
仲間の友情に感動です!
★★★★★
映画を見た人は良く分かると思いますが、これは決してハッピーエンドの物語ではないです。
簡単なあらすじとしては、主人公フロドが魔の指輪を葬るため仲間と旅をするという話です。
キャラクターの個性がはっきりと出ていて、飽きの来ない物語です。
13ヶ月にも及ぶ旅を経て彼の任務は成功するのでしょうか!?
衝撃のエンディングも必見です!
映画ファンにおすすめ
★★★★★
ご存知『指輪物語』の9巻セットです。(追補編は入っていません)ケースのデザインがいいですね。本棚に置くと画になります。9巻全部入っているので置いとくだけでもワクワクしますし、ただならぬものが本から伝わってきます。逆に、読みきる自信のない方は一冊ずつ買った方がいいかもしれません。それにしても9冊の本からひしひしと伝わってくる重厚感のある世界を作り上げたトールキンは非凡ですね。すごすぎます。
特典というか、中つ国の地図と登場人物の簡単な説明がついた冊子があるのも嬉しいですね。私は一度映画を観る前に読んで挫折したクチなのですが、映画をじっくり楽しんだ後に読んだせいか、序章も含め楽しく読めました。映画でハマった人は恐らくいっきに読み込んでしまうと思います。おすすめです。