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われ、謙信なりせば (祥伝社文庫)

価格: ¥690
カテゴリ: 文庫
ブランド: 祥伝社
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上杉景勝とは何だったのか?その2 ★★★★★
謙信の遺産と兼継の知謀の陰に隠れて、伝記を読んですら、どんな人だったか分からなかった上杉景勝に、初めてひとつのイメージを提示してくれた本。

常に軍神・謙信を敬い、「謙信の上杉」の後継者として公に仕えた景勝のなかで謙信が昇華され、謙信以上の美しいものとして立ち現れる。その経過を、直江兼続視点で追った小説。

実際には、御館の乱などのダークサイドにはあまり触れずに書かれているし、実際にはこんなに肚のきれいな人物だった訳ではなかったかもしれない。それでも。
凡夫の、凡夫たる故の苦しみを越えて、カリスマ・謙信を超えた「上杉景勝」という人の存在感。「一介の武人に過ぎない自分」としての上杉家当主としては余りにも慎ましやかな自己認識は、直江の知謀よりも確かに、上杉を導いてゆく。
その様は、虚構に過ぎないと分かっていても、心を動かされました。

ただ、戦国末期の上杉家の極一部しか書いていないので、一般的な伝記と併せて読まれた方が良いと思います。

小説としては☆3つですが、個人的にこの作品の景勝が好きなので、☆5つ。

上杉景勝 (学研M文庫)

大河ドラマの副読本に ★★★☆☆
華々しい合戦場面はほとんどなく、その大半が登場人物の心理描写という、ある意味めずらしい時代小説である。クライマックスは会津から陣を引いて関が原に向かう徳川軍に対し、上杉軍が追撃するかどうかという場面だが、「義」に対する景勝、兼続主従の考えの違いを浮き彫りにする。

奇想天外なストーリーではなく、さもありなんという筋書きなので、読み終わって腑に落ちるのだが、なんとなく物足らなさも感じてしまう。
なかなかシビアな上杉主従の姿 ★★★★☆
大河ドラマ関連として読んだが、
野望を描きながらも名補佐役としての器でしかない兼続の悲哀が描かれていて
「天地人」よりも読み応えがあった。

あまりにも大きな影響を及ぼし続ける謙信の影を踏みながら生きる
景勝&兼続主従が抱えるズレの描写が
他作品と違っていて面白い。
父を殺されたと思いながらも謙信の義を継いでいこうとする景勝に対して、
謙信にレイプされそうになったトラウマが胸の奥でくすぶっていて、
他の人間のように謙信に心酔できない兼続。

「天地人」のようにキレイ事ばかりでなく、
暗殺や謀殺にも関わった兼続のことが書かれていた。
本多正信が非常に印象深いキャラだったのに、
次男が兼続のムコになった経緯に関しては、ほとんど描写がなく肩透かしだった。
もう少し晩年の上杉家の経世済民に関して描写してくれると良かったなぁと思う。
それにしても
まともに側室を持たなかったばかりに、作家ごとに違う愛人を捏造される兼続だが
この作品での相手は・・・・・・いいのか、これで?