すばらしい鶴見俊輔案内
★★★★★
哲学者・鶴見俊輔の膨大な仕事のなかでこの作品がどのような位置を占めるか、また、哲学そのものに関わる内容などについては「なんとか分かった」という程度であって、いずれも私の力を遥かに超えているので述べることはありません。
しかし、語られている相当部分が「回想の人々」「期待と回想」などで触れられていることなので、それらを読んだ後に読むことになったこの作品については、“本の作り方”についての感想を述べてみたい。
一言で言えば実によく出来た「本」だ。
まず、さまざまな話題についてインタビュー。次にインタビュー現れた事柄に対する註釈。ここまではよくある形だが、その後に“メモラビリア”として“鶴見氏の著作、対談、インタビュー等から各小見出しに関連するものを抜粋”(p.19)してある。この部分がすばらしい。インタビュー記事そのものよりずっと多くの頁がこれまでのほぼ全ての時期に書かれた・述べられたものに費やされている。
少しずつ異なった言葉で述べられているのを読み進むうち格段に理解が深まったように感じられる。
すぐれた意味での学習参考書、すばらしい「鶴見俊輔入門」の一冊でしょう。