今までで一番好きな漫画
★★★★★
特に絵が上手というわけでもなく、
一見すると平成初期の漫画のような雰囲気を漂わせている本作品。
物語は主人公と卜部さんの日常のやり取りをずっと描いているだけなのに、
不思議と次の話がどんどん読みたくなってしまう魅力があります。
題名どおり今までで一番好きな漫画です。
知人に好きな漫画を聞かれたら、迷わず謎の彼女Xを挙げるでしょう。
ただ、
積極的にお薦めするのには幾分 躊躇させられます。
絶賛してすごい期待を抱かせながら読ます作品じゃないと思うからです。
なんなら、なにげなくふと手にとってみたら
「このユルイ感じ・・・なかなか引き込まれる、これは当たりだな!」ってな感じで読むのが正しいきっかけのように個人的には思います。
人づてに作品名を聞いて評価を見に来たあなた、
どうぞ構えず読んでみてください。
自分ははじめの1話で引き込まれました。
2006年の1巻発売以来、次の巻がとにかく待ち遠しい、
そんな漫画です。
ディスコミの成功したセルフリメイク
★★★★☆
といってしまうと、謎の彼女X、という作品が一言で終わってしまうかもしれません。
「謎の彼女X」と、「ディスコミ」で書いてある本質はまるっきり同じだからです。
ですがそれは私にとって悪いことではなく、むしろ歓迎すべきことでした。
はっきりとは説明できない、なんだかわからないけれど
なにか心のどこかに引っかかる、懐かしい、寂しい、暖かい、悲しい、
思い出の片隅にある場面を一つ一つ切り抜いた作風です。
それはこの作品でも変わっていません。
この作者さんは「ディスコミュニケーション」の頃から好きでした。
正確にいえば、ディスコミの8巻(序章〜冥界編)までがとても好きでした。
謎の彼女、のほうは学園編に近いですが、この先ひょっとしたら冥界編のような
展開もあるのかも?
このレビューでは、どうしても両作品の比較になってしまうのをお許しください。
主人公が不思議な子に振り回される構図はディスコミと同じなのだけれど、
与えられた性別がそれぞれ逆転しています。
たぶん、こちらの方がしっくり来る人は多いのでしょう。
(私は戸川さんと松笛くんも好きでしたが)椿くんはちょっと普通すぎるけど、
卜部さんは戸川さんよりかわいいのがポイントが高い(笑)
重要なのは、「ディスコミ」の時よりも、作者の植芝さんが年を重ね大人になられた、
ということです。
不遜な言い方ですが、昔の植芝先生はセンスだけで書いていた面がありました。
自分の中の書きたいものをそのままぶつけて、どう受け取るかは
読者に任せてしまおう、と。
プロになって何年も経ち、キャリアを重ねたことで、「謎の彼女X」では
自分の書きたいことを書きながら、読者に伝えたいことを伝える姿勢が感じられます。
わからないものをわからないままで書くのではなくて、「わからない」ということを
年を取ることで「わかった」作者が、それをうまく漫画という形にして
書いている気がします。
こんな受け取り方をするのも、読者である私自身が歳を取り、この漫画を読むことで
ディスコミとともに過ぎ去った青春時代をいつの間にか振り返っているからかも
しれません。
ですが、だからこそ思います。
またこの人のこういう作品が読めて、良かったな、と。
明らかに一般的ではないラブコメですが、一風変わった作品や不思議な作品が好きな人に
おすすめです。
王道の展開は無きに等しいのですが、でも、ちゃんとラブコメしています(笑)
卜部さんの目つきがどんどん悪くなっているのがちと残念な点、
顔のバランスは第0話が一番だったような・・・。
「その日、僕は夢を見た。いずことも知れぬ街で、ト部さんと一緒に踊る夢...」
★★★★★
ト部さんと初めて直に面した日、その面影に心惹かれた想いを抱いて眠る夢の中...
おおよそその心情を、まだ恋と認識せずにいる境地。
二人を世界の中心として、四方意味も持たず、幻想の産物が行き交う... 摩訶不思議な世界。
この現実世界さえ、あわば白昼夢の延長線上をたゆたうような... 描写が秀逸。
背景の書き込みの繊細さ、そこに置かれる脇役たちの実に多様な表情のさま、小道具一つひとつのユニークさ...
植芝理一氏は、絵が巧い。序幕の数ページを送るだけで、その表現、筆致の豊かさに嘆息を禁じざるを得ませんでした。
読み進めるに従って、どんどんこのト部さんがかわいらしく映えてくる。実に不思議な感覚を覚えたものです。
この物語のヒロインである彼女の特異なキャラクターは、とにもかくも「謎」であるさま。
彼女はある手段を用いて、主人公の心情と彼女のそれをシンクロさせることができる。
彼女の行動は、からっぽである自身の心の器を、主人公の心を投影して、分かち合い、共に満たしてゆきたい... そんな思惑が見え隠れするように映える。
思春期における男子の純情な葛藤を、彼女のことをもっと知りたい、という心象に重ねて、露骨な表現なくうまく表されていると思います。
というのも、当の彼は、彼女のことを「ちょっと変わった子だなぁ、でも可愛いよな〜///」くらいにしか考えてない(笑)。
もっとお話したい。手を繋いで歩きたい。あわよくば、その体に触れてみたい。ともすればもっとその先まで...
ト部さんは、口では好きと説いてくれても、安易なスキンシップを許してくれない。
少年の妄想、若き至りと、届きそうで届かない、その境界の微妙な軋轢がコミカルな不協和音となって、この物語をよりおもしろくしてくれるのだ。
ブルース・リーは言いました。
★★★★★
「考えるな、感じろ」と。
その通りです。
誰にでもある思い出 もしくは、誰もが憧れる思い出
「放課後のクラスで好きな娘とふたりきり」
この言葉にひとかけらでも何か感じる事があれば、
この物語を楽しむ事ができると思います。
物語のキーとなる『行為』がネタバレになってしまう、ので詳しくは書きませんが、
その『行為』は一見、変態的な記号にうつります。
私も最初は「フェチ?」な漫画なのか?と思いました。
しかし、読み進めれば、それが「ピュアな気持ちを逆説的に表現した」事であると気づくはずです。
年齢や性別は関係なく、「恋」というコトバ、
そこに何かを感じる人にお勧めです。
※5巻まで通読した上での感想であることをお断りしておきます
間接的なエロさ
★★★★★
少々アクが強いラブコメで万人受けはしませんが面白い作品ですよ「まぁアフタの連載作品はアクが強い漫画ばかりですが」
「ディスコミュニケーション」や「夢使い」を面白いなコレって思える人には超オススメ
クオリティが高く他の作品より読みやすくなっています「画力など全体的にレベルアップしてる」
少し変わった漫画が読みたい人にオススメです