「映画」の前の「映画」
★★★★★
黒澤監督の絵コンテについては何度か紹介されているのを見た事がありますが、これだけ纏まって見せられると壮観です。
1枚1枚の絵の力強く、それでいて繊細なタッチは独特のものですが、それぞれが「芸術」として独り立ちしているように思えます。
それにしても、各映画の裏にこれだけの絵コンテが存在すると言う事は、映画を取り始める前に、すでに監督の頭の中には1本の映画が出来上がっているのではないかと思えます。
実際、この絵コンテを見てゆくと、映画のそれぞれの場面が彷彿としてきます。
と同時に、その映像が実に絵コンテに忠実に再現されている事に驚きます。
逆に言えば、これだけ監督の頭の中で映画が出来上がっていると言う事は、そこに出演する俳優も大変だろうなと思います。
だからこそ、絵コンテが必要なのかも知れませんが・・・。
それにしても、この本はそのあたりを見事に知らしめてくれており、コンパクトに良く纏まっていると思います。