ワーナー所属時代のプリンスのシングル曲を集めたCDとリミックスCDの２枚組みです。この選曲が必ずしもベストだとは個人的に思わないですが、新しくプリンスを聞いてみたい人にはよいと思います。（私は聞きたいリミックスがあったので買いましたが・・・）リミックス集は普通コアなファン向けですが、このCDの場合シングル集のDiskOneに漏れたシングルのリミックスが多いですから、初心者向けですね。

これは以前、2008年にRhino（ライノ）レーベルからリリースされたシングル＆EXバージョン２枚組の焼き直しです。
というか内容が全く同じ物なので、以前に「アルティメイト・プリンス」を購入された方は買う必要がありません。

２５年位前、当時は Best Hits USA などでＰＶをながめていて、どうもそのビジュアルから
キワモノ的な印象が先立ってしまい、ちょっと受け付けなかったものですが、今純粋に音だけ
聞くと開眼させられるものがありますね。「あの時期の音楽は良かったね」的な郷愁でなく、
今の音楽としても十分訴求力とオリジナリティを感じますね。

セレクションに満足されない方がいるみたいですが、今再認識する場合や、これから聞いてみ
る人にはうってつけでないでしょうか。特に、Disc-2は、目から鱗ものです。

プリンスはデビュー以来長年在籍したワーナー・ブラザーズと90年代末に喧嘩別れしており、それゆえに過去の作品群のリマスター盤やデラックス・エディションが出にくい状況だ。この2枚組も本人の賛同や協力はないままに世に出たものとみて間違いない。それでもディスク2のバージョン違い集もディスク1と楽曲のダブりはないよう配慮されており、また全体を通じていい音響に仕上がっている。妙に狭いレンジで打ち込みやエコーが無理して鳴っているというのが彼の録音の大体の印象だが、この盤ではそれがかなり改善されている。CDフォーマットでは存在しなかった12インチバージョンも今回収録されており、喜んで購入するのが正しいだろう。アーティスト自身の意思の存在も大切だと思う、が、この編集盤の商品としての魅力に文句はない。

長年のプリンスファンにしてみたら、今更この様な内容の企画盤を出すことに何の意味があるのだろう…と思ってしまいます。確かに９０年代後半に一度ワーナーで正式に企画が挙がりながら「無期延期」になってしまったアナログ１２インチ盤の全ＣＤ化計画の件もありましたから、近年のプリンスファンにとっては貴重な過去の１２インチの音源を耳にする貴重な機会ではある訳ですが…しかし１２インチバージョンだけでも４０曲近く存在しているプリンスにとって、この余計なシングル曲との組み合わせは一体何なのかと…往年のファンに対する嫌がらせとしか思えないですね。かの「ライノ・レーベル」が噛んでいる割には構成がしょぼ過ぎますし、プリンス本人がこの企画に異議を申し立てたのも分かる気がします。。。ジャケットデザインも含めて（悪い意味での）“ブートレッグ”的な匂いが漂う一品です。

余程のコレクターか、まだプリンスの１２インチ音源を耳にしたことのないファン初心者以外にはお勧めしません。