『3121』を証拠の山に加えよう。プリンスは黒人のベックだ。プリンスのほうがぐっとセクシーであることは疑いはないが、両者ともイメージ以上に優れたミュージシャンだ。ひとつはとにかく風変わりな点で。もうひとつはエッジがある点で。このふたつを結びつけ、この10年でもっとも重要な音楽と言えそうなものを創造する極上のセンスが、プリンスにはある。物議をかもす第1弾と第2弾のシングル「Black Sweat」と、サウナでのぼせたような「Te Amo Corazon」のビデオに登場するプリンスは年齢を重ねたとは思えない。そんな彼は昔と変わらず、怖い者知らずだと証明している。ディスコ・ファンクの重量感をロックへ折り込んでいき、ソウル風味のジャズを支えにヒップホップをたっぷりと載せ、オールドスクールのR&Bのリフにラテンのリズムを叩きつける。なめらかでスタイリッシュでスマートなものは皆無。これほど見事に曲を繰り出してくる者は他にいない。しかも、繰り出す曲はむこうみずな音速のごたまぜであるのに、見事なのだ。プリンスのリリースにまつわるいつものハイプはこれだ――そこそこの価値のあるアルバムで、長い目で見ると、傑出した曲も数曲は期待できる。ダンサブルな「Love」、ゴスペル的なファルセットの饗宴「Satisfied」、そして夏のそよ風のような「Beautiful, Loved & Blessed」などを収録。
全盛期を思わす 変態アルバム
★★★★☆
プリンスの全盛期を思わすような
変態アルバムの登場
のっけの「3121」からデロデロ、密室ファンク炸裂!
続いての「ロリータ」ではもろ80年代を思わすような
キーボードサウンドなエレクトリック・ファンク。
そんな変態ファンクでこちらがワクワクしすぎたところを
ボサノバ風「te amo corazon」で癒す。
その辺の緩急は絶妙だ!
特に、個人的にはアルバムの後半に従って
好みの曲があって盛り上がる感じ。
「The dance」
「get on the boat」
の流れは素晴らしいとしかいいようがない!
前作「ミュージコロジー」は
キャッチーな大衆迎合風アルバムでも
好きだったが、ちょっと飽きやすかった。
でも今回は、末永く楽しめそうな
そんな傑作です☆
まだまだ力ありますね
★★★★★
80年代の偉大さだけじゃなく、今でもこれだけの力を出せるのは素晴らしいです。 もっと注目されもっと評価されてくれ!死んでから凄かったと言っても遅い。
普遍と前衛のセックス。
★★★★★
畏怖の念をも禁じ得ないほどに、完璧な作品である。
無論、所謂「プリンス像」というものが有ってのことではあるが。
時代の音と呼ばれるようなサウンドを軽々しく鳴らしておきながら、
一方で閉鎖的に固く護られてきたようなオリジナルのサウンド、
今まで何にも汚されてこなかったような純真無垢な自分の音を鳴らしている。
文句無しに情熱を感じさせられる作品である。
普遍と前衛がセックスしている様を目の当たりにしておきながら、
彼自身が単なるマスターベーションで終わらせなかったことが何より素晴らしい。
あくまで楽観ではない肯定的な生命力に満ちている。
音楽家として、素晴らしい作品である。
ただの偶然なのか誰か教えてほしい
★★★★☆
The Dance という曲、高橋幸宏さんの「音楽殺人」の収録曲NUMBERS FROM A CALCULATED CONVERSATION に似ています。どうしてでしょうか。でも、一番好きな曲です。
『3121』は住所らしい
★★★★★
2006年リリース。Produced, arranged, composed and per4med by Prince.Recorded at Paisley Park and 3121。
この『3121』というのはどうもハリウッドのプリンスの自宅の住所らしい。 ファースト・シングル『Te Amo Corazon』のデジタル配信日(12月13日)を逆さにした数字にし、セカンド・シングル『Black Sweat』を3分12秒にし、正式なアルバムリリース日を3月21日(3/21)にするという徹底ぶり。あわせてサイトも新設。昔から『2』とか『4』とか数字へのこだわりはもの凄いモノがあるプリンスらしさ満載の取り組みである。
そしてこのアルバムは、ビルボード・アルバム・チャートとR&B/Hip-Hopチャートで初登場1位を獲得。プリンスが1位を獲得したのは、R&B/Hip-Hopチャートでは1991年の「Diamonds & Pearls」以来15年ぶり。Billboard 200では1989年の「Batman」以来17年ぶりで、「Around the World in a Day」「Purple Rain」を含め4枚目の全米ミリオン・ヒットとなった。縁起を担いだ甲斐があったのかもしれない。
作品に参加しているのはいずれも過去にプリンス・サウンドを支えてきた面々ばかり。そして思うのはプリンスだけでなく支えてきた面々も年齢を重ね、年輪を感じる音をやるようになった、ということだ。ただ、Tamarのシングルとしてもリリースされる『Beautiful, Loved And Blessed』でのデュエットだけは他の曲と違ってどこか新鮮だった。
傑作だがきっとプリンスにとってはこのくらいの作品は『軽い』のだろう。