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レインボー・チルドレン

価格: ¥2,520
カテゴリ: CD
ブランド: ビクターエンタテインメント
Amazon.co.jpで確認
   再びプリンスと名乗るようになったこのアーティストの昔からの熱心なファンは、突飛だが爽快な本作の精神的な内容に驚かされはしないだろう。結局のところ、プリンスはそのキャリアの大部分において神聖さと不浄さのあいだに横たわる深い溝をまたいで立っていたのだ。だが、たとえそうであっても本作の赤裸々で宗教的なトーンは賞賛せずにはいられない。軽快なエンディング曲「Last December」で、プリンスとコーラス隊は「父と子の名において、わたしたちはひとつにならなければならない」と宣言している。本作の目的は明快であり、アルバムのほぼ全編を通じてプリンスは宗教的な愛の精神に突き動かされ、ここ数年の彼と変わらないサウンドを聴かせてくれる。そして、穏やかなワルツ「She Loves Me 4 Me」からリラックスしたジャズ風の「Mellow」まで、グルーブ感のなかに贖罪の気持ちが組み合わされている。たとえ今の音楽の主流(本作を通して風刺的に物語っている)から外れようとも、プリンスは喜びに満ちあふれたファンキーな音を奏でている。(Amy Linden ,Amazon.com)
2001年《プリンス》の旅。 ★★★★★
2001年に発表された、あのプリンスの《驚異的傑作》である。意外と知られていないが、これは『パープル・レイン』や『サイン・オブ・ザ・タイムス』に匹敵する《超傑作》である。歌詞をちゃんとチェックしていないのだが、どうやら非常に《宗教的》な内容のアルバムであるらしい。プリンスは、意外にも非常に《信心深い》人だという情報も入ってきている。何はともあれ、音楽だけ聴いても《超傑作》なので、理屈は抜きにして楽しんだ方が良いだろう。少なくとも私は、そうしている。オススメのアルバムです。
2002 ★★★★☆
90年代を通して、僕は、プリンスというものに対する飢えをずっと感じてきた。アルバムは何枚か出されたが、そこには、プリンスでありながらプリンスではない、そんなもどかしさが、どこかにつきまとっていたとでも言えばよいだろうか。しかし、この作品は、久しぶりに、プリンスというものに対する飢えを十分に満たしてくれるアルバムだ。まず、名前がプリンスに戻ったのは、彼が過去のモヤモヤを振り払った証しだろう。それを裏付けるように、本作では生楽器主体のメロディアスな曲が鳴らされていく。一時、傾倒していた打ち込み風のアサウンドはほとんど見られず、実にプリンスらしいファンクネスが作品を支配しているのだ。中でも、JB風の4、得意のワン・コードで迫る13あたりは、全盛期のプリンスを彷彿とさせるナンバーと言っていい。
加えて本作は、レインボウ・チルドレンを主人公にしたコンセプト・アルバムになっている。自身の声にエフェクトをかけたモノローグが随所に配置され、人種や宗教を超えた「人」としての愛や尊厳を訴えるような、そんな物語。キング牧師の演説を引用した12の終盤から、先の13、感動的なラストの14と続くあたりで、物語はクライマックスを迎える。ジャズ、ファンク、ロックと、音楽的なスタイルを横断したサウンドも、アルバムの内容にぴったりと寄り添うかのよう。マーヴィン・ゲイの『アイ・ウォント・ユー』を思わせるジャケもイカすし、今こそプリンスのライブが見たいと思える、そんなワクワクした感覚に満ちたアルバムだ。
敬虔な変化 ★★★★★
2001年作。純然たる新作としては初のインディーズでのリリース。大きな特徴は"Prince"名義に戻った(笑)ことと、宗教的な事情によりFワードなし(笑)、これまでになくジャズからの影響が濃厚であること。Tr.1からいきなり「どジャズ」です。
1991年の「D&P」で生バンドのサウンドになり、96年「Emancipation」以降は「レコーディングはシンセ・リズムマシン打ち込み」、「ライブはバンドサウンド」と分けられ、スタジオ盤とライブの音がどんどんかけ離れていったのですが、本作ではジャズを意識しているためか久々に生バンドのサウンドが戻っています(とはいってもプリンスの1人多重録音中心ですが)。何より、DrのJ・ブラックウェルのすばらしいドラミングが本作の生音感の全てを占めています。長年、評論家やファンが待ち望んだ初のオフィシャルライブ盤が本作のライブであったことを考えると、J・ブラックウェルの力はすごいと思いました。おそらく、プリンスが本当に敬服しているドラマーではないかと思います。
Tr.2のネオソウル、Tr.8の80年代風ミニマルもGoodですが、ハイライトはヘビーファンクTr.12。歌詞もグルーヴも強烈で、曲の終わりのキング牧師の演説の頃には何だか感動してしまいました。
前作「Rave〜」がスター的な作品であったことを考えると、かなり面食らう内容ではありますが、個人的に21世紀以降では最も好きな作品です。
自分の子供の死を乗り越える ★★★★★
2002年リリース。1999年発表の『Rave un2 the joy fantastic』から約2年ぶり、ワーナー/チャペル・ミュージック出版社との契約満了を期してプリンス・マークからプリンスに戻ることを宣言しての第一弾である。
そういった契約の話以上に重要なのは、『Rave un2 the joy fantastic』の直後にプリンスが生まれたばかりの子供を失うという事件があったことだろう。これはおそらく彼の人生観そのものを変えてしまったと思われる。かくて登場したこのアルバムは今までのアルバムとは全く異なるものに仕上がった。
露出的なプリンスはほとんど引っ込みただただ内面に棲む天才がジャズのカタチを用いて創ったアルバムである。言ってみれば『セクシャル』から『センシュアル』に変貌したターニングポイントの作品だ。いずれの曲も奥深い。自分の子供の死を乗り越えようとするプリンスの心象現象が出ている。ちょっと変わっているのはこのアルバムをiTuneで解析すると、ラストの傑作『Last December』のあとに4秒×5→6秒×1→38秒×1の7つの『Untitled』の曲が隠されていることだ。次作2003年リリースの『N・E・W・S』では14分で統一されたまったくボーカルのないジャズ・インストルメンタル4曲へと流れていく。
さらに、ダメ押し!ただ今、殿下のいちばん ★★★★★
アーティストという生き物は、その活動期間が長ければ長いほど、キャリアの中で光り輝く時期とそうでない時期があって然るべきだ。

それにしても、このアルバムはスゴすぎないか・・・?

プリンスというアーティストは、長い黒人音楽の歴史の中で見ても、デューク・エリントン、マイルス・デイビス、ジェームス・ブラウン、ジミ・ヘンドリックス、スライ・ストーンらに肩を並べる偉大なる「ねじれた黒人アーティスト」である。どう「ねじれて」いるのかは、これまでジョニ・ミッチェル作品のサンプリング具合や、次作品「NEWS」でのエレクトリック・マイルスに捧げたような捻くれたインスト・アルバムを聴いても明らかだろう。

プリンス・フォロワーの私は、正直殿下にもはや「サイン・オブ・ザ・タイムズ」を超えるような傑作アルバムは、この時期期待もしていなかった。
ところが、どうだ!このアルバムの濃密度たるや・・・。
ここにあるのは、ジャズからソウル、ファンクからポップ、ロックからヒップホップまでを経由した男にしか作れない、華麗なる黒人音楽総絵巻である。

通常のCD100枚分くらいの情報量は、軽くある。
未聴の方はもちろん、かつての殿下を知るファンなら必ずラスト曲で泣けるハズ。
このアルバムで感動しないようなら、どんな音楽聴いたって感動できないよ。