前作「あすなろ物語」と比べると、淡々とした曲が多いですが、「1. 大空の記憶」やメインテーマ「3. 出逢った頃の君でいて」と、その後のベストアルバムには必ず収録される S.E.N.S のスタンダードナンバーを 2曲収録。実際、じっくり聴いてみると、確かにそれは S.E.N.S らしい音楽であり、「1. 大空の記憶」でいうと、シンセとアコースティック、特にピアノとの融合、「3. 出逢った頃の君でいて」でいえば、美しいメロディラインと巧みなオーケストレーションは、彼らでなくては創り出せないものでしょう。
同じように静かでアンビエントな曲ながら、「2. 君のいる風景」や「4. Believe」、また「3. 出逢った頃の君でいて」のピアノソロ・ヴァージョン「6. 出逢った頃の君でいて~Piano~」も、豊かな響きを持った良作です。主題歌を編曲した「5. 純愛ラプソディー~Instrumental~」がよいアクセントになっていて、アルバムとしてのバランスもよく保たれています。
前後にある「あすなろ物語」と 15th アルバム「輝く季節の中で」と比べると、どうしても地味に思えてしまうアルバムですが、逆に、より自然と調和したような静かで豊かな響きは、味わい深いもの。お手ごろな値段でもあり、ぜひ手に取っていただきたいですね。