90年代・日本のロックアルバムの傑作
★★★★★
前作「NASTY CHILDREN」から4年4ヶ月振りにリリースされた彼らの通算9枚目のオリジナルアルバムはまさに90年代・日本のロックアルバムの傑作となった。活動を休止し、長い冬眠生活から明けたHARRYと、HARRYの冬眠中に麗蘭やTHE991/2等の活動を精力的にこなしてきた蘭丸。94年の復活ツアーで発表しながら練っていった楽曲たちは、そのレコーディングにおいてもメンバー4人による一発録音となった。つまり全10曲、ドラムとベース、そして2本のギター以外の音は聴こえない。それでいて重厚感たっぷりのサウンドは彼らの実力を思い知ることとなる。特にラスト3曲連続でワウを効かせたギターワークは圧巻である。1曲目の「WAVE'95」から強烈なリズムを刻み、詩の世界観が新たな可能性を引き出した「聖者のラプソディー」も秀逸。ブルースあり、レゲエあり、そして個人的に彼らの魅力のひとつであると思っている、飲んだくれロックも健在(「BABY BLUE」)である。翌年リリースされる、通算10枚目のアルバム「NO BIG DEAL」が彼らのラストオリジナルアルバムとなってしまう訳だが、まったくもって日本のリスナーたちは惜しいロックンロールバンドを解散に至らしめてしまったような気がする。なぜなら本アルバムリリースから15年近く経っているが、未だこれを超える衝撃を受けるアルバムにお目にかからない。
スライダース節、復活
★★★★★
5年間の空白から、スライダース復活!を匂わすような素晴らしい出来栄えの9作目。
5th「天使たち」からメディアへの露出が増え、故意か不意か健全なロックバンド風?な音の方向へと進みつつあった
スライダースが、初期の頃のふてぶてしく危なっかしい音の緊迫感を取り戻し尚且つ円熟味を増した・・・そんな感じが
する作品。
1曲目「ウェイヴ95」のイントロから、前の作品らとは違う緊迫感が漂う。聴き所として7、8、9曲目のハリーの歌が、
グサグサと心に突き刺ささってくる。
特に9曲目「ホェア・ドゥ・アイ・ゴー」のド迫力は圧巻、演奏も歌詞もスライダースの究極と言えるかも・・・。
「WRECKAGE」は演奏(音)もさる事ながら、なんか吹っ切れた感のある歌詞が、より作品を引き立たせているように思える。
オリジナル・アルバム全10作品の中でも上位に評価されていい作品だと思う。