世界を変えるために
★★★★★
スティーブ・ジョブズやグーグルの創始者などシリコンバレーの成功者たちの言葉を集めたウェブ礼賛の書。
たしかに、この30年ぐらいの世界の変革の多くはシリコンバレーがもたらしたものだろうし、シリコンバレーで活躍してきた、あるいは活躍している人の言葉を読むことは、とても面白い。
彼らが、「世界をよりよい場所にするために」取り組んできたことも認めよう。でも本当に世界って30年前よりいい場所になったのかなぁ。まぁ、PCやインターネットの普及でより便利になったことは間違いないけど。
著者のように明るい未来志向というか楽観主義者ではない私にはシリコンバレーとそこに流れ込む投資が世界を変えていくというのは、いいことばかりじゃないような気がするが。
もちろん、働く人間としての自分にとっては、グーグルのような職場で働きたいという気持ちはある。自分の能力ややる気が発揮できるような雰囲気は、正直言って、今の私の職場にはない。世界を変えるどころか職場すら変えられない自分の力のなさが残念。
ウェブ進化論でファンになり
★★★☆☆
内容はシリコンバレーとは限りませんが、ITで成功した人々の思い言葉を伝える本でした。
ITと言っても、基本思想は変わりません。
IT業界が解らない人でも、本当に勉強になると思います。
自分の思いを改めて考える良い本だと思います。
しかし、厳しいことを言うと敢えてこの本でなかればならないと言う思いは薄かったです。
他にも良い言葉は多く過去・現在あります。
この本でなければならないと言う思いと言葉が私には無かったので、評価を3としました。
やはり、ウェブ進化論が良い作品過ぎたのでしょうか・・・。
シリコンバレー&新世界がどういう思想で動いていくかを学ぶ
★★★★★
いま、世界は(以前とは)まったく違う。それは、君たち一人ひとりが
世界中のどんなことについても「情報を得る力」を持ったからだ。
私が学校に通っていた頃と、本当にまったく違う世界だ。── サーゲイ・ブリン
「情報を得る力を個人に与えてエンパワーするとよりよい世界ができる」、という
シリコンバレー的思想がどのような背景で作られているかを学ぶのに最適な本。
彼らは基本的に人間の創意工夫と創造性を楽しんでいるのだ、と読んでいて伝わってくる。
成功したからいえた金言という批評はあたらない。
読んだ上で、このような新しい世界を目指すことがよいことなのかは個人が判断すればよい。
個人的にはワクワクするし、個人への信仰は性善説で対応できている(「全く見ず知らず
の人間でも信頼できる」ということを、eベイは一億二千万人もの人たちにわからせた」)、
株式公開でお金の流れまでオープンに組み込まれたこの流れはとめられないと思った。
著者の講演録もおすすめです。
http://www.bunshun.co.jp/umeda_web/umeda_lecture01.htm
シリコンバレー勉強学のまとめ
★★★★★
「世の中の雑事にあまりわずらわされず、本を読んだり、
考え事をしたりを中心とした生活を営みたい」
という、ライフスタイルを抱いていた梅田さん
本書は、そんな彼の勉強学のまとめ
とはいっても、ライフハックツール的なものではなく
シリコンバレー周辺の技術者達の言葉をバラし、
深く解釈したもの
図体だけデカいデブ会社にならないための方法論もアリ
代替がきく人間にならないための処世術もアリ
さぁ、金言格言から、エネルギーを充電
ゴードン・ベルのシンプルなプログラムをさらに削ぎ落とすと
get;
write;
get;
start;
スティーブ・ジョブズの言葉の理論には
「テクノロジーの力で、世の中を良い方向に変える」
といったものが根幹としてある。
結果としての経済的成功はその後に伴うもの
eベイの創業者、ピエール・オミディアの
「良い人がより良く振る舞える環境を整えていく」
というシステム設計にも共通点を見出せる。
シリコンバレーのベンチャーは、
・優れたアイデアやテクノロジーの発想を持った創業者
・アイデアを現実の製品にしていく能力を持った秀でた技術者
・卓抜したテクノロジーの芽を見抜く力を有した投資家
・オペレーション経験豊かな実務家
このような人たちがチームを組んでいる
アナタはどのタイプ?
ロジャー・マクナミーの言葉
「好きな人と働かなければならない」
またまた、ゴードン・ベルの言葉から
「組織は最初から贅肉なしだ。
ライン(筋肉)とスタッフ(頭脳)を分けてはいけない」
グーグルの女性副社長、マリッサ・メイヤーは、
「政治的になるな、データを使え」
という意志決定の秘訣を、
会議では「I like 〜」という言葉を使うな、とも
「でも、グーグルが大成功したから『ゲームは終わり』だなんて、
それは歴史を否定することだ」
とは、ベンチャーキャピタリストのランディ・コミサーの語り
リーナス・トーバルズ
「僕の成功の尺度は、『これは意味があることだなぁ』
と感じられることをいつもやっていられること。
そしてそれが『楽しいこと』だったらもう最高だ。
だから僕にとってLinuxは完璧なんだ」
はてなの近藤さんがよく発する言葉
「人間がつくったものならばすべて
その成り立ちを理解することができ、
自分でもつくれるはずだ」
グーグルのCEO、エリック・シュミット
「インターネットは、人間の最も基本的な要求、
つまり知識欲と、コミュニケーションをはかること、
そして帰属意識を満たすことを助けるものである」
「肉体の拡張」の世紀を経て
物理的距離を克服した一部の人類は
「頭脳の拡張」の世紀へと突入した。
その世界での通貨は時間であり、
平等に与えられた貴重なリソースをどう使うか
「頭脳が自発的に能動的にどう過ごすのか。
そのちょっとした差異が大きく増幅される時代に入る」
「お前は何をやっている人間で、どんな実績があり、
こらから何をしようとしているのか」
ジョブズの名スピーチから
「君たちの時間は限られている。その時間を、
他の誰かの人生を生きることで無駄遣い
してはいけない。
(中略)
心や直感は、君たちが本当になりたいものが何かを、
もうとうの昔に知っているものだ。
だからそれ以外のことは全て二の次でいい」
サンの共同創業者、ビル・ジョイ
「自分がやらない限り、
世に起こらないことを、私はやる」
シリコンバレーの躍動
★★★★☆
著者の他の本と同様、本書も非常にポジティブである。
掲載されているそれぞれの言葉は、まさに珠玉の言葉たちだ。
シリコンバレーの熱気が伝わる。
技術者たちの夢を感じる。
世界最高のチーム、グーグルの凄味に驚く。
ひとつひとつの言葉は、巷のビジネス本にある簡単な言葉とは違う。
本書を単なるビジネス書として読むのは間違っている。
噛みしめ、体感し、自分の指針に据えるべき言葉が少なからずある。
また、ネット社会に対する非常なポジティブさが本書にもあふれており、
「ウェブ進化論」、「ウェブ時代をゆく」と同じく、ここまで来るとすがすがしい。
著者の場合は、それが単なる無知、馬鹿に由来するのではなく、
確信犯的に、evangelist的にやっているところが、稀有なところであると思う。
本書に登場するvisionaryを目指したい、と思っているのだろう。
現在(2009年3月)、世界は非常に暗く、先が見えない。
これは、ちょうど1年前ほどの本ではあり、
今現在のシリコンバレーがどのようになっているのか私にはわからないが、
おそらく、夢を持った技術者が、夢を持った若者が好きでたまらない投資家から援助を受け、
挑戦している光景はあるのだろう。
大組織で働いている私は、「おまえはだれだ」と問われたとき、答えられない。
このような生き方がうらやましい。
また、このままでは、日本はこの分野では絶対にアメリカに勝てない。
日本にもこのような場所を作りたい。
このご時世、こんなにポジティブな本があるなんて素敵じゃないか。