いくつかの不満な点はあるが、非常に有益な単語集
★★☆☆☆
レビューの前に商品の評価基準について
1.本自体の内容に対する評価
最低は★一つ、最高は★★★三つとする。
・題名から想像される中身を十分満足させるものか
・価格と情報の質
・情報の正確さ
などなど
2.カバーデザイン、中身のレイアウトや見やすさ、字体、紙質など
評価するなら★一つ
3.主観的評価
評価するなら★一つ
***
まず、本書の「売り」である頻出テーマの論点をおさえ背景知識をつけると言う点、一般単語の盲点を押さえると言う点は、非常に評価できます。
Chapter 1に「頻出論点21」があり、日本語で背景知識が理解できるように書かれてあり、キーワードは英語と日本語(赤シートで隠せるようになっている)で書かれてあり、カタカナで読み方(アクセントは太字)まで丁寧にふってくれていて、極めて良いです。
Chapter 2の「一般単語の盲点」に関しても、どの程度通用するかはわかりませんが、かなり有益であるように思われます。(細かい点に関しては、ひょっとするとカバーし切れていない単語が多数存在するかもしれません。)
Chapter 3の「一般重要単語」は科学論文でよく使われる単語約940語を収録しているようですが、中身を見るとZ会『速読英単語 上級編』やターゲット1900などでも十分対応できるものです。医歯薬系上級レベルの入試問題に対し、この一般語彙940語で対応するのは心もとない気がします。上記2冊とこの本との併用が望ましいように思います。
「付録 論点の復習」では、Issue1からIssue21までの論点が日本語のみで記載されています。Chapter1に書かれてある背景知識が、そっくりそのまま書かれていて、キーワードが赤い日本語で書かれあり、赤シートで隠せるようになっています。ゴチャゴチャしていないので読みやすいというくらいでしょうか。
最後の「索引」は、見出し語、重要語・派生語など重要度によって字体や色が変えられており、使いやすいでしょう。
レイアウトやデザインなんですが、教学社の赤い色は良いとして、中身は少しだけ字体が大きいように個人的に感じます。『速読英単語』や『ソクラテス』などのほうが、はるかに見やすく、見やすい方がやる気が出る人は、大満足とはいかないでしょう。紙質も『速読英単語』の方が個人的に使いやすいです。デザイン的には、あまり繊細で洗練された感じはしない単語帳です。
主観的には、Chapter 3はいらない気がします。それをするのなら『速読英単語』のように、その論点21個分の英文を載せて文法説明をつけて欲しいです。付録に関しても特に必要な感じは受けません。それを載せるならば、頻出論点以外のマイナーな自然科学系論点の背景知識を掲載するとかの方がよほど満足です。
こういった不満な点はあるけれども、特にChapter1,2が気に入ったのでそれなりに満足してます。
単語だけではなく、頻出テーマの背景知識も身につけられる
★★★★★
医学や医療についてかかれた「日本文」のところどころが虫食い的に英単語になっていて、文脈の中で医系単語の意味を覚えることができる、というもの。地が日本文なので、スラスラ読んで読解に必要な背景知識を理解しつつ、覚えにくい医系単語が無理なく覚えられるようになっています。
医系英文を読むためには、そのテーマの専門用語だけでなく、そのテーマについての背景知識も大切です。本書はその両方が無理なく身につくよう、よく工夫されていると思います。さらに英文も丸ごと載っていると完璧でしたね。
ほかにも第2章には、knifeは「手術」という意味でも使われる、といった、一般単語の盲点的なものをまとめたものが載っていて役立ちます。医歯薬系の受験生は本書で押さえておくといいでしょう。
頻出テーマの論点をひと通り押さえてあるので、国公立大学後期日程の小論文などで課題文が英文という人にも最適だと思います。