読み物としても楽しい、書の案内本
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読み物としても十分楽しめる、中国の書への案内本。読んだ方の心に響く名筆との出会いを願います。
見開きごとに、各名筆のハイライト箇所の写真とエピソード、見どころが紹介されています。このエピソードがなかなか楽しめる仕上がりで、読み応えがあります。書人の生い立ちや、蒐集家の熱心さなど・・・。
また、全体の流れを通して、書が高級官吏の記録用から民間の意志伝達を担うものへ、そして個性を表現するためのものへ遷り変わっていく様子が浮かび上がります。時代ごとに分けられているので、書体の変遷も一目瞭然。書は楷書→行書→草書と発展したと思われがちかもしれませんが、そうではなく、行書も草書も同時に発展したものであることが分かります。