【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:石井美樹子/著 出版社名:中央公論新社 発行年月:2009年04月 関連キーワード:エリザベス カレイ ナル コドク えりざべす かれい なる こどく、 チユウオウ コウロンシヤ チユウオウコウロンシヤ 4622 ちゆうおう こうろんしや ちゆうおうこうろんしや 4622、 チユウオウ コウロンシヤ チユウオウコウロンシヤ 4622 ちゆうおう こうろんしや ちゆうおうこうろんしや 4622 英国国教会の確立、弱小国の防衛戦略、臣下の活用といった統治の実際から、人文主義への深い造詣や、数多の求婚を退け独身を貫いた私生活の詳細まで-父王により生母を断頭台に送られた幼女が、やがて時を味方につけ、十六世紀ヨーロッパに威風を行き渡らせる宿命の足どりを、丹念にたどる。 砕け散る希望-王女誕生フランス仕込みの貴婦人継母の慈しみの中で愛する人との別れ姉妹の確執幸福の反転エリザベス一世誕生ロンドン入城最初の議会女王と結婚問題恋心を縊
分厚いが読みごたえはある
★★★★☆
エリザベスの両親の結婚の詳細から始まっているので、必然的に英国国教会設立の経緯にも非常に詳しい。
基礎知識は持っていたが、本書でさらにその周辺事情がよくわかるようになった。
もちろんヘンリー八世の6人の王妃とその結婚のいきさつにもちゃんと触れられている。
これがまた面白いので、この辺だけはつい野次馬根性で読んでしまった(笑)。
特筆すべきはエリザベスの受けた教育についてとても詳しい記述があることだろう。
何歳頃にどういう師の元でどんな勉強をしたのか、この3点セットがきっちり書かれている。
そのプログラムを見ていると、それらはもちろん今日の「教育」とは多分違うけれど、人間力を上げるものであっただろうなと納得。
賢く理知的で権謀術数に長けており、容易に言質を与えない頭の回転の良さは、こういった教育に依るところが大きいらしい。
異母姉・メアリー一世との確執についても非常に詳細な記述があるのも本書の良い点だ。
メアリー個人に関してもかなりの頁を割いているため、彼女の簡易的な伝記としても読める。
特に彼女が夫フェリペ二世への愛情から女王としての義務や責任をないがしろにし、イングランドを傾けてしまう経緯は興味深い。
しかし小さいうちから既に母は無く庶子の身であったエリザベスと違い、彼女はかなり成長してから人生が180度変わってしまったので、
エリザベスへの深い憎悪や、それと反対に愛する者への深い愛着、自分と母の人生を滅茶苦茶にしたプロテスタントへの弾圧等、
一つひとつの思考や行動の動機が何だか理解出来る気もする。
このように本書の読みどころはたくさんあるけれど、即位後のエリザベスが終始直面し続ける大きな問題である宗教の対立に関してとても解りやすかった。
この時代の、特にイギリス・フランス・スペイン・オーストリア・ネーデルラントの複雑に入り組んだこの問題が、本書では詳しく述べられている。
西洋の宗教事情はなかなか解りにくいが、著者のすっきりとした文章のおかげで結構頭に入って来た。
また、エリザベスと言えば欠かせない寵臣達についても、その出自から活躍の様子、実績、人柄等、一人ひとり詳しい。
彼女の寵臣については今まで正直誰が誰なのやらという認識だったけれど、今回やっと各人の横顔が見えた気がする。
非常に分厚い本だが、著者の日本語はとても読みやすく要旨が明解なので、長さを感じずに読むことが出来ると思う。
なお本書の3分の1はエリザベスが即位するまでに充てられているため、「エリザベス一世」という人間がどうして、またどのように形成されたのか理解出来ると思う。
同著者によるキャサリン・オブ・アラゴンの生涯を扱った『薔薇の冠』とほぼ類似する美しく華麗な装丁も嬉しい。
オールカラーの口絵写真も豊富なので、本文と併せて楽しめるだろう。
甘さを排した事実による、想像力と好奇心を満足させる本
★★★★★
冒頭の文章から想像力を刺激され、映像を見ているような感覚で読み始めた。
だが、ざっと読み終えるような本ではなかった。
著者は甘さを排した冷徹な観察眼を通して、エリザベス一世の手紙や演説録、
女王の周辺にいた人々の手紙のようなたくさんの資料により、ルネサンス時代の
政治的・宗教的・歴史的背景の詳細な構成のなかに見事に君臨する女王をあぶり
だしている。
その姿は聡明で激しく、時に切なく可愛らしささえ醸しだし、時には憎らしいほどの
強さ・頑固さ、国家の長としての非情さを感じさせる。単なる喧伝による伝記本では
なくて、事実の詳細な組み立てによる面白さ、重厚さがある。
あとがきによれば、著者は15年余りケンブリッジ大学図書館で執念にも似た熱意と
努力で資料を収集したようである。歴史のなかでふと抱いた小さな疑問を執念と
探求心で一つ一つ丹念に追い続け、イギリス人でさえ知らなかったような事実を
日本人が見つけ出した過程は読む者の好奇心をあおる。
日本にいながらにしてこれだけの稀覯本、資料で紡がれた本に巡り会えた幸せを
有り難く思う。
独自色が今一
★★☆☆☆
石井美樹子氏が男性社会で仕事する上で自分をエリザベスに重ね合わせて考え、それでメアリ・ステュアートに魅力を感じないというのはよくわかった。私がエリザベスに感じる魅力も似たところがあると思うから、仲間を見つけたようで嬉しい。
しかし、この本は結構値が張るので買うのに勇気がいる。また、翻訳も含め類似書があるので、もうちょっと独自色を出さないとこの値段では釣り合わないのじゃないかと思う。
長さといい細部にわたって書いているところといい、質量共に悪くはない。なので、私のようにありとあらゆる手に入る伝記を読んだというのでなければ、おすすめできると思う。
ただ407ページにフランシス・ドレイクとして載っている肖像画は、サー・ウォルター・ローリーの有名な肖像画で、ネットで調べてもドレイクだと新たにわかったという話はなかった。
信頼おける素晴しい書
★★★★★
エリザベス1世に関する本は沢山あり、
少なからず読んでいますがこちらは大変な価値を感じます。
まずあとがきによって述べられているように、
著者の第一資料に基づく長年の研究による真実に限りなく近いという意味で。
他の本で知ることのなかった事実も
数多く書かれていると思いました。
そして、エリザベスが深く関わった人物の描写も、
時代背景やそれぞれの思惑、勢力関係、
有力貴族の衰退・顛末までも、
彼女が所有していたもの、おかれていた状況・事情を
できる限り詳しく描かれ
エドワード6世やメアリー1世との確執や
身辺に寄り添っていた女官や家臣など、
その時々によっての相手に対して持っていた感情とその変化を
自然にストーリーに組み入れて
素晴しい歴史伝記となっています。
かのエリザベス1世を育むことになった構成要素。
生い立ち、幼少期、多感な少女期、
そして信念や哲学形成に与えた出来事や教育や生活に関しても
物語の中にうまく描かれています。
今まで読んだエリザベス1世についての本の中で
いちばん正確にエリザベスを語り、
美しい日本語で仕上げてくれた素晴しい本だと感じました。
新書の「イギリス中世の女たち」を併読すると、
ほんの細かいエピソードですが、
本書で触れられてない事が書かれていたりして満足です。