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エリザベス一世 (講談社現代新書)

価格: ¥777
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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治世者としてお手本のようなエリザベス一世の素晴らしさ ★★★★☆
現代のイギリスを知るためには、その国の隆盛を為し遂げたエリザベス一世の治世にその根本的な理由があるはずだと考え、本書を手に取りました。

幾多の苦難を乗り越えて名君主となり得た一人の女性の生涯はまさしく波乱万丈とも言える目まぐるしさで展開していきました。
ロンドン搭に幽閉されたり、宗教改革というルター派のプロテスタントとローマ教会のカトリックの対立という荒波を乗り越え、英国国教会の独自性を保ったこと、自分の死後、処刑したメアリ・ステュアートの子であるスコットランド王ジェイムズ6世を王位継承者に指名したことなど読むに連れ、素晴らしい治世者として改めて評価したいと思います。

エリザベスは沈思熟考型の性格と見えて、非常に冷静で結論を急ぐことはなかったようです。ただ、その考えた後の決断は素早く、アマルダ戦争におけるティルベリーでの演説は君主の鏡のような言葉が続きます。本書の153頁にある防衛軍である全将校への演説を少し引用します。
「私はこの戦いのただ中で、あなた方と生死をともにする覚悟であり、また神と私の王国のため……塵の中へ命も投げ捨てる覚悟である。」と。
このように前線で鼓舞する女王は、まさしく強いリーダーのあるべき姿として神々しく輝いていたことでしょう。
当時のヨーロッパでは小国であったイギリスは、ターニングポイントとも言うべき時代に必要な女王を擁いた幸運があればこそ現在までの発展があったのだと理解しました。

筆者青木道彦氏の記述は分かりやすく、門外漢でもスラスラと読める平易さで記されていますが、学術的にも史料にしっかりと裏付けられたものです。添えられている地図、系図、写真、グラフは本文の助けになるような有用なものでした。新書版でエリザベス一世の時代を知る類書がないだけに本書の価値は高いが故に、版を重ねているわけですから。
当時の複雑な国際情勢下で、責務を立派に果たした名君主の生涯 ★★★★☆
私は本書を読むまでは、エリザベス一世といえば、イギリスの絶対王政の代表的君主、スペインの無敵艦隊を撃破したこと、そして数年前の映画を通じて陰謀の多い時代に忠臣・愛人に恵まれていたいう印象しか持っていなかったが、本書によって、実に波乱万丈の人生を送ったことを知った。本書はテューダー王朝成立まで遡って、当時の西欧の中で小国であったイングランド(スコットランドとの統合はまだ先のこと)が旧教を捨て英国国教会を設立するにいたった事情、エリザベスが女王になるまでの苦労(母は死刑にされたがエリザベスは父に愛された才媛であったこと、旧教徒の前女王・姉のブラディ・メアリとの緊張関係)、そして女王になってからはネーデルランドの新教徒を助けつつ旧教の大国スペインと全面対決することがないように絶妙な外交手腕を発揮し、ドレイクのような海賊も活用してスペインに打撃を与え、最後にはアマルダ戦争で無敵艦隊を撃破するに至ったこと、恋人はいたが理性を発揮し抑制的な態度に終始したこと、スコットランドから亡命してきたメアリ・スチュアートとの宿命のライバル関係、そして彼女の治世前後のイングランドの経済・社会・文化に至るまで、実に多くのことを教えてくれる。本書の記述は精緻で、当時のイングランド、スコットランド、フランス王家の血縁関係、アマルダ戦争でのスペイン艦隊の陣形、彼女のゆかりの地の紹介など資料も豊富で、特に巻末の索引は多数の登場人物を整理するのに役立つ。また、彼女の演説を2つ紹介しているが実に感動的で人を惹きつける。欲を言えば、最近彼女の治世に対する批判もあるらしいが、本書での彼女の欠点の紹介はあっさりしていて、この点の説明がより深ければ満点の書となったであろう。本書を手引きにまた映画を観てそこで付加されたフィクションを確かめたいと思う。
大英帝国成立の立役者 ★★★☆☆
英国がカトリックから離脱したのは、男子継承者の欲しいヘンリー八世が愛人アン・ブーリン(エリザベスの母)との再婚をバチカンに願った際、教理を理由に拒否されたことである。ヘンリーは再婚を可能にするために英国国教会を創設し、カトリックと断絶した。そして紆余曲折の後、エリザベスがチューダー朝最後の王として即位したが、まだまだ英国は小国でありスペインとの対決をしなければならなかった。本書では大英帝国成立の立役者であるヘンリー八世の行状とエリザベス女王の孤軍奮闘が描かれている。日本との関係をみるとエリザベスの時代、英国人ウィリアム・アダムスが日本に漂着「三浦按針」として帰化し、徳川家康の外交顧問になるのだが、家光の時代に鎖国。その約二百年後、日本が再び国を開いたとき、英国はヴィクトリア女王が君臨する、日の没するところなき大英帝国の最盛期となっていた。英国ばかりでなく日本の鎖国政策についても色々と考えさせられる一冊である。