この本には、時刻表の見方から、このきっぷのルール、誤解しやすい次項のチェックポイントまで親切に解説してあり、夏休み号が使える7月20日には早速試してみたいと思う人も多いだろう。
しかし、普通列車で快適に行けるのは、快速が何本も出ている東海道線の豊橋・大垣間、長浜・姫時間など限られており、特に地方線では、気に入った景色のところで気軽に途中下車することなど簡単にできない。
立野(たての)駅(熊本県長陽村)のスイッチバックで名高い豊肥本線は、熊本・大分間150km足らずだが、全線を乗るには途中で2回乗り換えが必要で、連絡も悪いために特急なら2時間40分のところが6時間以上もかかり、昔の客車列車時代より遙かにのろく不便になった。幹線でも昼間は次の電車まで2時間などはざらにある。
青春18きっぷの使いこなしには、慣れと体力が必要である。以前、鉄道に乗ったことがない、私の塾の生徒(中3)を往復8時間ほど乗って原宿・新宿・秋葉原に連れて行ったことがったが、2,3日からだが振動している感じがするわ、夢にまで電車が出てくるわで、「疲れたより電車霊に搗かれた」と言われて唖然としたことがある。まず、欲張らないで、元が取れる程度の、ゆとりのある行程から初めてほしい。
ゆっくり・ゆったりの出逢いの旅は、「のぞみ」や特急を使うより、贅沢で楽しい思い出になるだろう。
効果的な使い方、とくにきっぷ使用期間に出る特別列車「ムーンライト」シリーズの使い方など大変参考になった。夜の12時をまたいで使うときにはきっぷを途中まで買っておくなんて考えも着かなかった。今度はのんびり電車の旅もいいかもしれない。しっかり本も読めるし。
不満も少し。豊富な使用例があるのはいいのだが、基本的に関東圏に住んでいる人により参考になるものばかり。まあ本気で旅をする人は「応用」することが楽しみの一つなので、気にはならないんでしょうけどね。