出雲神話は謎が多いとされる。たとえば『古事記』『日本書紀』と『出雲国風土記』とを読み比べてみる。すると『出雲国風土記』がより素朴で土着的なのに対し、『記紀』の政治色の強さは明らか。どちらが出雲神話の「虚像」で、どれが「実像」なのか。なにより、『記紀』出雲神話で有名な話が『出雲国風土記』に登場しないのはなぜか。
スサノオ、オオクニヌシだけでなく、出雲国造家と畿内政権との関係、国譲り神話はどう形成されたか、出雲土着の神々など、出雲神話について多角的に論じた1冊。
中公新書の松前健著『日本の神々』とともにオススメ。