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キョウカンカク (講談社ノベルス)

価格: ¥924
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 講談社
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風呂敷を広げる部分は天才的 ★★☆☆☆
音に色がついて見える共感覚。
そして共感覚を持つ探偵。

話の展開はすごく面白かったです。
どんどん話が広がっていって、犯人は誰だろう、どういう推理で犯人を追い詰めるんだろう、とわくわくしながら読みました。

最後の50ページ以外は文句なしでした。

けれど最後。
風呂敷をたたむ場面。それが駄目でした。
動機、トリック、推理、どれをとっても稚拙で単純、そして期待を下回る真実でした。

予想していた中で最悪な結末でした。
途中までが最高によかっただけにそれが残念でした。


けれど風呂敷を広げる部分まではとても面白かったので、次回に期待して星は2つにしました。
動機に新鮮味あり ★★★★☆
ていねいな文章で、楽しく読めました。
犯行の動機は、これまでのミステリにはなかったものではないでしょうか。
ところどころ、あれ、と思うところもないではありませんが、佳作。
主人公の少女時代も全部は明かされていませんし、当然パート2が出るのでしょう。
楽しみです。
驚・新感覚の本格推理 ★★★★★
「こんな探偵、ありなのかよ」
 読み始めて、思わずそう呟いてしまった。音宮美夜は、音を見る探偵なのだ。
 この小説のタイトルにもなっているキョウカンカクとは共感覚のことで、文字に色が見えたり、音に匂いを感じたりするという特殊な知覚現象。音宮美夜の場合は、音に対して聴覚と一緒に視覚が反応するという共感覚の持ち主なのである。音を聞くと形や色が見える。人の声を聞いて、その人の心を色彩として見ることができる。まるで超能力だが、アメリカやイギリスでは共感覚協会なるものまで創設されている現実的な存在なのだそうだ。共感覚は、十万人に一人の割合で発現するともいわれている。
 その音宮美夜が挑むのが、「フレイム」と呼ばれている連続殺人犯。殺したあとで死体を焼くという最悪のサイコキラーだ。相棒は、幼馴染の少女をフレイムによって惨殺された高校生の甘祢山紫郎。その蒼い海のような声で、後追い自殺をしようとするところを美夜に見破られて、捜査に協力することになる。
 音宮美夜の共感覚は、探偵としては強力な武器になる。殺人者の声も、燃えるような紅い色として知覚できるのだから。しかし、推理小説としては、探偵役があまりに超常的な力を持つという設定は難しい。犯人がすぐにバレてしまっては、興味は半減してしまう。しかし、だ。この小説は、共感覚という題材を、探偵のパーソナリティだけではなく、ストーリーの根幹に取り入れることで、その難題を悠々とクリアしてしまっている。
「こんな推理小説、ありなのかよ」
 周到なドンデン返しの結末を読み終えたあとで、自問してみる。
「ありだよな」
 納得している自分がいる。「キョウカンカク」は、驚・新感覚の本格推理小説なのである。