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奪われた「三種の神器」-皇位継承の中世史 (講談社現代新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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赤松氏の物語が書きたかったようです。 ★★☆☆☆
 この本、三種の神器と銘打たれていますが、途中から、室町時代の赤松氏についての記述が大半です。

 それで、ほとんど、三種の神器が出てこなくなります。

 それってありなの?と問いかけたくなるような本です。

 確かに、副題で皇位継承と中世史とありますが、皇位継承について、そんなに触れていますか。

 どうも強引に著者の研究ネタを売れそうな題をつけたという感じ。

 著者には悪気がないのだろうけど、書名と内容がずれている。

 純粋に書名を見て、三種の神器について知りたいなと思って買う人は注意が必要です。
神器を巡る熾烈な政治ドラマ―国制史の一側面 ★★★★★
本書は、中世史を専門とし

現在は大阪観光大学研究員である著者が

三種の神器について記した著作です。


皇位の象徴とされる「三種の神器」

著者は、古事記に記された伝承や律令制の下での位置づけ

そして、源平の争いの中での逸失とそれに対するの対応を紹介。

そのうえで、鎌倉後期から南北朝の分断〜再統合の中で

三種の神器にどのような政治的意味が付与(あるいは剥奪)さたのか。

そして、朝廷や幕府・諸大名など神器と深くかかわる人々が

どのような政治的駆け引きを繰り広げたのかを解説します。


神器無しで執り行われた後鳥羽の即位、

神器の帰還に熱狂に沸く人々と一条兼良の醒めた眼差しの対比―など、

いずれの記述も興味深いのですが、なかでも印象深かったのは

嘉吉の乱で断絶した赤松家の再興に、

南朝の末裔からの神器奪還が深くかかわっていたという記述です。

赤松家と神器という関係自体が初耳で、とても興味深いうえ

有力な旧臣の助力によって赤松家の再興が果たされた―という指摘は

後に赤松家の家中から浦上、宇喜多など

アクの強い家臣が出てくることの遠因のように思えました。


政治的シンボルをめぐる政治ドラマを通じて

中世における国制や天皇制核心のをも浮かび上がらせる本書


日本史や政治史に興味のある方に限らず

一人でも多くの方におススメしたい著作です。