文体は口語調と文語調が混ざっているのが少し気にかかりました。読者への問いかけの感じを出すためにこうしたのなら、それは裏目に出たと思います。口語調の部分がうるさいのです。
「作家では食っていけないというなら作る必要がない」や「確信なしに作品は作れない」など的を射た箇所もある反面、「写された画像そのものを私個人は写真と呼んでいない」、「私は写されているものを見ていない」、「印画紙の奥に!ある確信が私にとっての写真」などの発言はあまりに極論だと思いました。
第一に写された画像を見ないなら、どうやって写真を論じるのでしょうか?あまりに観念的なので冗談かと思いました。
珍しい種類の本ですが、私のような写真を見て楽しむ者にとっては理解を超えるお話でした。
なぜ読者をいちいち挑発しなければならないのか?その目的が分かりません。読者には著者の盲目的崇拝者もいれば、まったくニュートラルな者もいるわけです。読者が不特定多数である以上は、著者はその方策を再考した方がより共感を得ることができると思います。その点でとても「残念」でなりません。