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ハチ公の最後の恋人 (中公文庫)

価格: ¥480
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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都合のよすぎる展開に入り込めず・・・ ★★☆☆☆
 吉本ばななさんの作品をかなり久しぶりに読みました。
 昔の作品はきれいで儚げ、登場人物が限りなくピュアで、発想も展開も思いもつかないような意外性と
柔軟性に富んだもので、好きでした。SFじみたエピソードがはさんであっても、納得できました。

 しかしこの作品には戸惑いました。都合がよすぎるというか。
主役の少女マオのハチへの思いとか、毎日一緒に過ごす生活とか、人生への考え方とかで言いたいことは分かる気がします。
 
 でも宗教団体の家で育って、超能力者の祖母の予言どうりことがすすんでいく、というのはあまりスマートではないと思いました。
憧れることもないし、現実的でもない。ユーモアでもなさそうだし。

 ハチの生まれ育ちや行く先、ハチの元彼女の存在なども、リアリティがなく、何だかとってつけたような唐突な感じがしました。
マオはまだ年若い少女なのが、家出をしても、ハチが去っても、生活に困ることもなく、すぐ受け入れてくれる先がある、
しかも大金持でマオの才能を伸ばしてくれるスポンサーの登場も。
マオの母親も、いい年齢でずっといた家を去るのに、すぐ行き先がある。でも生活を変えるのはそんな簡単なことじゃないはず。
全体的に、あまりに都合が良すぎて入り込めませんでした。
まったくの甘いファンタジーであればお話だからと思って読めるのかもしれませんが・・・

「マオやハチと違って続きがあるのにあまり幸せそうじゃない人達」がたくさんいるのも実際は、多々の現実的な問題と、人への想いとを両立させるのは大変なことだからではないかと思わされました。
大好きな人でも、道が分かれてしまうこと ★★★★☆
こんな人生を送っている人もいるんだろうかと思った。私の日常とは全然違う。でもわかる。

主人公とハチの道が、主人公とその母親の道が分かれていくのが見えるような感じがした。
大好きで両想いになれた人とは、結婚して家庭を作って年とってどっちかが死ぬまでずっと一緒にいる。それが一番の理想だって思ってたけど、それだけって思いこまなくてもいいのかなと、この本を読んで思った。
読んだあとは、すごく遠くの場所のことを考えてしまいます。
偶然で、でも必然 ★★★★★
この本は、研ぎすまされた文章だけれど、
ふつふつとたぎる生命の熱みたいなものを感じた。

ああ、ステレオタイプな考えってなんてくだらないんだろう。
幸せが何かなんて、本人にしかわからない。

幸せ=結婚、成功、安定、
そんな考え間違いすぎている。
それを目的にした時点で何かは違ってくる。

全部、たまたまだ。
偶然で、でも必然だったのだ。

「恋に落ちるしかなかった相手」
「絵を描かずにはいられなかった人」

それこそが純粋で、なんと力強い事か。

何かを目的にしているのではなく、
自分(たち)のしている事こそが理由で結果だなんて。

恋とか、制作とか、
自分の目指すべき道がわかった時の感じとか、
自然や出逢いの中で生かされている感じとか、
力強い衝動を思い出させてくれる本。
物語は青春色で、装丁は完璧。 ★★★★☆
物語は、最初の1行を読み始めると
もう後はばななワールドに突入して
それを堪能しておわる

この本が優れているのは、装丁です。
ADは、サー中島英樹。カバーはなく、表紙が厚手の紙で
観音になっていて、ワイド画面に開きます。
そこには浜辺で波を待つサーファーたちをとらえた海の写真。
表と裏に違うカット使用。撮影は若木信吾。

その表紙を開けると鮮やかなオレンジ色のページ
次にきれいな黄色のページにタイトルと著者名
次の見開きにも、その黄色のページ(文字はない)

本文レイアウトは、下にスペースを取った読みやすい文字組で
全体のサイズも、ちょうど手の中に収まるほどの大きさ

こうした全体が、物語がつくる幸福感に
すばらしい形を与えてくれています
濃縮ばななジュース ★★★★☆
濃縮ばななジュースとでも言いたいような、
とても濃くて、ばななばななしている物語でした。

よしもとばなな名義になってからの本をたくさん読んでいて、
吉本ばなな名義の本はたぶんこれがはじめて。
そうしたら、自分が年齢を重ねたせいもあるし、
すでに10年ほど前の作品、ということもありますが、
なんだか夢の中のお話のような、童話のような、
現実と非現実が溶け合って混ざり合っているような、
とても不思議な読後感を得られた作品でした。

よしもとさんの本って宗教っぽい職業の人が多数出てきたり、
家族関係で必ずしや問題があったり、
ヒッピー、もしくはヒッピーくずれが出てきたり、
登場人物に似通っている点はありますが、
それを差し引いても、心の奥底に響くような
岩盤浴みたいなあたたかさと確固としたものがあって、
著者であるご本人はどう思っているのかは分かりませんが、
本を読んでいると「著者は相当筋が通っていて、自分に自信があるのだな」と
思わされるところもあります。

私は知人に薦められて読みました。
寓話のような、童話のような、現実にはなかなかありそうにない物語ですが、
そういうところも含めて、濃厚なばななジュースのようで
私は味わいながらゆっくり読みました。

いい言葉、深い言葉がたくさんあり、オススメです。