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幼女と煙草

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 早川書房
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:ブノワ・デュトゥールトゥル/著 赤星絵理/訳 出版社名:早川書房 発行年月:2009年10月 関連キーワード:ヨウジヨ ト タバコ ようじよ と たばこ、 ハヤカワ シヨボウ ハヤカワシヨボウ 6942 はやかわ しよぼう はやかわしよぼう 6942、 ハヤカワ シヨボウ ハヤカワシヨボウ 6942 はやかわ しよぼう はやかわしよぼう 6942 死刑を目前に控えた囚人は、最後の一服を要求した。しかし、刑務所の所長は完全禁煙の規則を盾にそれを拒否。事態は、煙草会社、法曹界、政治家を巻き込んで、奇妙な混乱へと陥っていく…。はたして、囚人は最後の一服を許されるのか?一方、禁煙の市庁舎のトイレで煙草をくゆらせていた職員は、幼い女の子に現場を発見される。威嚇して追い払ったものの、職員には告発の手が伸びる。やがて、囚人と職員の人生は、皮肉な形で交差する-注目の作家が放つブラック・コメディ。
不思議と現代日本と重なる作品 ★★★★★
この作品を読んで一番ぞっとするのは
通勤しながら労働している壮年男性であろう。

なぜなら、ここに書かれていることが
実際に起こりえて、社会的に死ぬことは
私たちの日常にも存在しているのだから・・・と気づかされるのだ

子供と大人のパワーバランスが逆転し
誰もが子供になりたいと願う歪んだ社会
同じことをしていても報道のされ方一つで
180度違う見方をされてしまう社会
言われなき罪から死にまで至ってしまう社会
事件やテロがエンターテイメント化する社会

強烈な毒をもって読み手に迫ってくる作品でした。
煙草は、人間を動物と分ける ★★★★☆
近年、これほど主人公に感情移入させられた物語はなかった。そもそも小説を読む際に、感情移入など大した問題ではない。感情移入を目的に小説を読むという“動機”など、消えてなくなれとさえ思っていた。

しかし、本作の主人公には思い切り感情移入してしまった。

大人に成ること、成人とは制限された不自由極まりない子供から、大人の権利を得ることであった。その権利の一番のものは“喫煙”であったと、本作の主人公は言う。<役立たずで、観賞用とも言える物、煙草は、人間を動物と分けていたのである。この方法やまた別の方法を用いて、僕らはできるだけ早く大人になりたがった>。

ところがところが、<それから30年後、まさか人生のなかで最も危険をはらんだひとコマが、煙草を吸うため〜十三歳の中学生そっくりに〜人目につかない所を見つけ、現行犯で逮捕されないよう風通し十分の場所で鍵をかけたドアの裏に閉じこもることに隠れていようとは・・・・>ってな事態に相成ってしまったのだ。

そう、役所の便所でこっそり煙草を吸っているところを、あろうことか5歳の幼児に見つかってしまう主人公は、う〜ん当人自身がガキに他ならないとも言えようが・・・・。そのシチュエーションに思い切り同情する。自分もやってしまいそうだ。某文学研究者(※)のように「路上喫煙禁止区域」で堂々と吸う勇気など、当方にはないのだから・・・・。神奈川県に仕事で足を運ぶことの多い当方は、飯を食うにも吸えるか吸えないかに過敏になっている。何平米以下の飲食店は、いまだ喫煙・禁煙スペースの分離等は「努力義務」らしいが。
いやいや、今や都内のサテンですら・・・。

物語冒頭の死刑囚が要求する最後の“一服”の問題といい、“中学生のガキ”にならざるを得ない主人公の問題といい、本作の背景には人間にとっての法律、ルールというものを問うているとも言えようが、そんな風に言ってみても、この作品を評価したことにはならない。また個人の嗜好のあれこれを、それぞれが盾として持ち出して、作品論をやってみても詰まらない(平行線を辿るだけだろう)。

おぞましくも愛すべき(「愛すべき」などと言うと毛嫌いする人もいるだろう)弱くて自分勝手な人間を描いた小説そのもの。

因みに主人公に感情移入した当方は、布団から抜け出して立て続けに煙草を吸いながら本作を最後まで読み進めた。多分、この小説、大向こうの評判は悪いだろうな。だって、ここに“愛煙イデオロギー”を嗅ぎ取って、それを毛嫌いする読者が少なくないだろうからなあ。今や世間的には読書と喫煙は相容れない行為と成り果てた感が無きにしも非ずだが、断じてそんなことはないと言っておきたい。喫煙自体を知的な行為だとは言わないが、過激な反喫煙も知的な行為とは程遠いではないか?

700℃の煙草(吸い殻は一旦消しているのだから700℃もなかろうが)を窓から捨てる所業は、断じて許されるものではない。勿論吸い殻も同断。そういう所業が愛煙家を一層追い詰めるので、やめるべし。禁煙エリアでの喫煙は遠慮すべきだ。あとは状況次第で、遠慮したり、気配りしたりは必要だろう。でも、吸えるところでは堂々と吸えばよいではないか。嫌煙派、反嫌煙派双方から異論が出るだろうが。
なお、煙草を吸えない雰囲気の飲み会には遠慮するようになった。気を使うのが苦痛で酒が旨くないのだ。
これも何か寂しい話やのお・・・・・。

ただし、主人公の小説内行為(窓からポイ)を倫理的に攻めるのはいかがなものかな?

※某文学研究者は本書をどう読むのだろうか? 是非知りたい。
ブラックな風刺劇としては一級品ですが、徹底的な愛の欠如があまりにも寂し過ぎます。 ★★★☆☆
多彩な才能を発揮してマルチに活躍するフランスの実力派文芸作家デュトゥールトゥルが2005年に著した本邦初紹介となるブラックな問題作です。本書を読んですぐに現代社会との類似を感じる点は健康を阻害するという名の下にエスカレートして行く禁煙・嫌煙運動の問題でしょう。著者は「幼女と煙草」に対する人間の観念が異常化した仮想社会の姿をこれでもかとばかりにブラックに風刺して描いています。
死刑を目前に控えた囚人の望んだ最後の一服が刑務所の所長から拒否される。やがて「最後の一服」問題は裁判に掛けられ、世間の注目を集める大問題となる。一方、禁煙の市庁舎のトイレで煙草を吸っていた職員が幼い女の子に現場を見られて後に告発される。同じ時期に起きたこの煙草を巡る2つの事件は対照的な運命を迎え二人の人生は思いも寄らぬ意外な形で交錯するのだった。
それにしても喫煙を制限する社会の中で片や堂々と煙草を楽しむ姿を見せつけて抑圧された大衆の共感を得て殺人という重罪にさえ恩赦を与えられる死刑囚と、逆に禁煙の場でこそこそと隠れて煙草を吸っていた為に社会から抹殺されてしまう男と、天と地のような差で要領の良い人とそうでない人とはこれ程までに違うのかと驚かされます。幼い子どもが尊敬される社会で刃向かった為に男が茶番劇の裁判に掛けられる場面までは笑えますが、テロリストの血生臭い人質の処刑が絡んで来るとあまりの冷酷さに震えが来て非情な風刺劇に恐怖の念が込み上げます。唯残念なのはストーリーの流れの予想がついてやや単調になり、男が子供を作る事を拒否して妻さえも敵に回してしまうに及んで助かる可能性がゼロに思えて来る点で、物語を通して徹底的な愛の欠如を感じるのがあまりにも寂し過ぎると思います。本書はブラックな風刺劇としては一級品ではありますが、やはり次回作では人間本来の温かなヒューマニズムを感じさせる部分も読ませて頂きたいと願います。
赤いマークがいくつも並ぶ超激辛 ★★★★★
海外作家のブラック・ジョークは怖い。その皮肉は、容赦ない知性の刃と耐え難い毒をはらんでいる。しかも、海外ものとはわかっていながら、今、眼前にある日本社会を痛烈に皮肉られているような気さえしてくる。

貧困と人種差別ゆえにどこまでもノーテンキでからっぽな囚人が一夜にして得る大衆人気。規則に厳格であっても法には無知な官僚。冤罪を成り上がりの機会と焦る女性弁護人、たばこ会社、政治家、死刑反対、喫煙反対論者と、そのまた反対論者によるドタバタ。

一方、子育ての親のためにオフィスが全面開放され子供があたりかまわず走り回っているという情景。男子トイレに迷い込んだ女の子に対する性犯罪をまつりあげられる悲運。子供嫌いが小児性愛倒錯の状況証拠とされる皮肉。行政の矛盾をほじくり返してうさを晴らしている高学歴プチブルの人生。批判好きで常に主流に背を向けていた性格がゆえに向けられる悪意に満ちた復讐と排除のうねり。

この対照を軸に展開する本書を読み進むうちに、始めの笑いが、やがてこわばっていく。

ブラックものマニアにとっても、赤いマークがいくつも並ぶ超激辛だろう。
残酷なばかりでちっとも面白くない ★☆☆☆☆
これはおそろしく金がかかった本である。
そもそも規定第47条は所内規則176bの上位の法律である。したがって、これを実行させなければならない。それは当然所外に設けた喫煙所でおこなわれるべきで、何も疑問の点はない。だから、この小説の筋書きがそもそも成り立たないと言えよう。
「僕は立ち上がり、窓からまだ火のついている煙草を投げ捨てた。」というところは自覚はしていないものの犯罪そのものである。
700度の物体を投げ捨てて、平気でいられるところに作者のニコチン依存が見て取れる。読んでいて馬鹿馬鹿しくなった。