行列と線型変換
価格: ¥0
現行課程になり, 高校数学のカリキュラムの中に 40 年以上続いていた「行列」と「線型変換 ( 1 次変換)」が完全に姿を消しました。この分野は, これまでの多くの理系の高校生が程度の差はあれ, それを理解できていたのですが, 諸事情のため消え, 学習する機会が極端に減ってしまったことはもったいないことです。そこで, 駿台文庫の「受験数学の理論」の著者である清史弘がこのシリーズの「行列」を電子書籍として復活させたのが本書です。したがって, 本書はこれまで数万部を売り上げていた書籍の電子書籍版と考えていただけるとよいと思います。(実際は, それに加筆してあります。)
本書の復刊に向けての著者の考えは次の通りです。
・かつての高校生が理解していた行列と線型変換を風化させたくない。
・行列と 1 次変換が受験数学の範囲となっていたときは, ここまでのことをやっていたという「受験数学の文化の記録」としても持ち合わせたい。すなわち, 学習指導要領上の「記録に残る」範囲ではなく, 高校生が大学受験のために学習していた「実質的な記録に残りにくい学習範囲」を記録として残しておきたい。
・大学の線型代数を丁寧に学習したい(例えば, 行列の積の定義の仕方の理由など)。
内容は, 線型変換の定義から始まり, 行列の演算のルールとそのように定義する理由, ケーリー・ハミルトンの定理, 線型変換の基礎, 固有値と固有ベクトルの基礎と応用, 2 次曲線の分類, 3 行3 列の行列式と逆行列, n 行 n 列の行列の行列式が中心です。旧数学 C の範囲だけでなく, 数学の得意な高校生が到達していた地点がわかります。
著者紹介 清史弘(せいふみひろ)
主に, 大手予備校を中心に, 小学生から大学生までありとあらゆるタイプの数学を教える。それは, 大学受験のための数学, 一般教養としての数学, 数学オリンピックを受ける人のための数学など様々である。地方の教育委員会あるいはその下部組織からの講演依頼も多く, そこでは「数学教育」の講演を行なう。また, 数学に興味のある中学生, 高校生向けの講演では, 未発表の数学を披露し, 才能ある 10 代の心に点火させてきた。著書は学習参考書が多く, すでに, これまで 8000 ページを超える著作物がある。
数学以外にも創造活動は多岐にわたる。これまで, 販売された作品は「小説」「映画」「ピアノ作品の楽譜」「ピアノの演奏のCD」などがあるが, 今では絶版になったものも多い。
http://www.math.co.jp