「佐伯啓思」入門
★★★★☆
本書は社会思想史家である佐伯啓思と文芸評論家である三浦雅士との対談集である。
テーマは日本人のエートスや現代社会の現状、資本主義、大衆社会、現代思想、アメリカと多岐にわたり、興味ふかい話を聞くことが出来る。
三浦雅士が聞き上手で、佐伯の考えを理解しやすいように引き出している。ここに本書のセールス・ポイントがあるように思われる。
本書において佐伯が述べていることは、佐伯の読者には目新しいものではないが、佐伯の思考の中心にあると思われることばかりであり、その意味で本書は「佐伯啓思」入門の役割を果たすだろう。佐伯の本をこれから読んでみようと思っている人に本書をお勧めする次第である。その分、三浦ファンには物足りないかもしれないが。