本当に良い本です
★★★★★
アメリカの精神科レジデントにとって,「支持的精神療法」が必須であり,この本はそのテキストを和訳したものです。
アメリカの精神科医がこのようなベーシックな「患者さんをサポートする」というスキルと能力をきちんと身につけようとしていることにまず驚きます。そしてこのようなベーシックなスキルを学ぶために,しっかりと体系的にまとめられたテキストがあるということがすばらしいですよね。
「患者さんを支える」というのは,当たり前のようでいて,難しいことです。どうやって支えたらいいのか? 支えすぎてもいけないし,「支える」ということがひとりよがりになってもいけないし・・・。深く考えてみると,とても難しい技術です。「誠意があればいい」としても,患者さんにとってはその誠意がありがた迷惑になることもあれば,それによって傷つけられることもあります。
このテキストはそういったことを1つ1つていねいに教えてくれる本です。それぞれのスキルについて,具体的なケースをあげ,セラピストと患者さんとのやり取りも示してくれています。
また,9.11のケースをあげながら危機介入についても説明しており,その部分だけでも一読の価値はあるのではないかと思います。