夢かうつつか、不思議な読後感
★★★★☆
冒頭、予言者の婆さんに占ってもらうシーンから、超現実的な異世界へとたちまち取り込まれてしまう。虫やら疫病やら現地の不可解な慣習やらで、二人の白人は疲労困憊。彼らが目の当たりにしているものが夢かうつつか分からなくなってくる。写真も挿入されているから実体験に基づくノンフィクションなのだろう。しかし、何となくマジック・リアリズムっぽい、と言うのが適切かどうかは分からないが、現実世界の境界線が崩れてくるような不思議な感じがとても魅力的で一気に読み進んでしまった。
クレージーな旅。がつんとくるリアル。
★★★★☆
この人普通じゃないと思った。財産をはたいて幻の怪獣をたしかめるための旅に出るなんて。
文章も普通じゃないと思った。たいていの旅行記なんて、醜い部分を割愛しちゃうものだけどこの人は書かなきゃいいのにと思うくらいオープンにあったままを書いている感じだった。
アフリカどころか海外にも行ったことないけれど、この本にアフリカの熱気とリアルを感じた。くせのある文ではあるけれど、間違いなくおもしろい本だと思う。
不思議な本だが、こういう本が売れてほしい
★★★★☆
訪れる村落で出会う多くの人々の言動、美しい動物、おぞましい貧困、そして現実を現実でなくする(現実でないことを現実にする?)呪術やアニミズム。読み方が悪いのかもしれないが、これらがぐちゃぐちゃと一体となって、たまに途中でなんの話だかわからなくなることがあった。
しかし、それでもこの本は読み進めることができる。些細なことは関係ないのだ。博物学的探検記を期待すると外れるが、書き手たちが混沌のなかを進んでいくさまが、まさしくそんな読書体験となる不思議な本だと思った。
値段からして、そんなに部数をつくっているわけではなさそうだが、こういう本こそもっと取りざたされて良さそうだ。
アフリカ深部への長い長い旅とその長い長いお話し
★★☆☆☆
緑陰読書用に上下二冊を携えて休暇に出ました。コンゴ・ブラザビルから奥地へ、伝説の怪獣を探しに行く英・米・コンゴの探検家の長い長い話で、読了には相当の忍耐が要ります。本としては、冒険ものというのにはスリルに乏しく、博物誌または文化人類学的な素養もあまり感じられません。 聞けば、著者は稀有の冒険家だとか。。。 冒険家の探検中の日常生活が延々と記されていて、それを面白いと感ずるかどうかが評価の分水嶺です。 ブラザはこの本が記されてからもあまり変わりません。 相変わらず、暑く、貧困と無秩序があるというのが半年前に自分が行った時の印象です。
なんというすばらしい本だろう!
★★★★★
困難な旅の中にありながら、本書の主人公、マルセラン・アニャーニャ博士の語る言葉を日々書き留めていった著者、レドモンド・オハンロンの驚くべき精神力に敬意を表さずにはいられない。なんというすばらしい本だろう!