「伝説のバンド」という形容詞が常につきまとうバッファロー・スプリングフィールド。スティーヴン・スティルス、ニール・ヤング、リッチー・フューレイら、後にそれぞれのグループでアメリカンロックの歴史に名を残すことになる彼らが、実質的な音楽キャリアをスタートさせたのがこのバンドだ。
   そんなバッファロー・スプリングフィールドのボックスセットが構想から10年（！）を経てようやく登場した。長く待たされた甲斐もあり、4枚組88曲中37曲が未発表音源という決定的内容。さらに当時の記事スクラップ、詳細なデータ、写真などが満載のブックレットが加わり、このボックスの価値をさらに高めている。
   曲はすべて録音順に並べられており、わずか2年ほどの活動期間ながら混乱の多かったこのグループのドキュメンタリーとして楽しむことも可能。もちろん、若き日のスティルスやヤングの創造力がぐんぐん成長していく様を目の当たりにできるということだけでも、このボックスを手に入れる価値は十分にある。（中田 那加）