とことんドタバタさせてみれば・・・
★★★★☆
佐藤雅美さんの知識と文体の焼き鈍しで、ちょっと恥ずかしい思いをしながら読みましたが、佐藤さんの「ぐずぐず」にドタバタがまざりこんで、けっこうおもしろかったです。ただ、作者の論語徴へのこだわりを披瀝されるのはけっして不快ではありませんが、動輒些付会也。
先ずは、なか見検索!
★☆☆☆☆
なか見検索!で、先ずは出だしを読んで下さい。違和感なく読めましたか?それならば私のレビューはお役に立てません。
私はダメでした。重箱の隅を突っつくようなことが気になって。
「雨宿りして遣り過ごすような雨ではない」が、「番傘に落ちる激しい雨音に」殺気が掻き消されてしまう雨って、どんな雨?
腰に突きを入れた体勢はどんな風になっているのだろう?大きく前に踏み出して、低い姿勢で腕を伸ばしているのだろうか?
腰に突きを入れて、「返す刀を真一文字に振りおろす」って、切っ先の動きはどうなるの?下段から首筋を刎ねに来て、返す刀で振り下ろすのなら想像できるけど……。しかも「真一文字に振りおろす」の「真一文字」は何を指してるの?横に真直ぐが「真一文字」だと思うのだが?刀法に暗い私には到底理解できない。(注:かつて吉村昭氏は「生麦事件」の執筆に当たり、馬上の背の高いイギリス人を、道に立っている薩摩藩の侍が袈裟斬りにできるのか疑問に思い、鹿児島県まで出向いて可能なことを確認した、という話が「史実を歩く」に書かれていたと記憶しています。多分、この本の場合も、実際にはあり得ることなのでしょう。)
こんな調子が最後まで続き、没入できませんでした。また、本筋とは関係のなさそうな著者の博識は、ためになると言うよりも、テンポを悪くしているようにしか、私には感じられませんでした。とにかく読み終えるのに時間が掛かりました。
裏を返せば、プロフィールに「歴史好き、読書好き」とあるように、江戸時代の知識を得る目的であれば、参考になるかも知れません。
因みに、続刊の「おんなの仇討ち」も購入してしまったので、読み進めるつもりです。この後の展開が多少は気なりますし、何しろ著者は「文春文庫が自信を持って送り出す大型新人!」であり、「時代小説の愉しみを満載した新シリーズ!」ですから、この先は面白くなるのかも知れません。
新人離れした文章
★★★★★
「文春文庫が自信を持って送り出す大型新人!」と帯に書いてあるので、どんな作品だろうと思って購入しましたが、読み始めたら止まりませんでした。
ページを追うごとに喬四郎の動きが軽やかになっていき、次の作品が待ち遠しい。三カ月連続発売と聞いて嬉しくなりました。
でも、著者紹介を読んでも著者の経歴がよくわかりません。初の著作としては、新人離れした文章力だと思います。