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悩める日本共産党員のための人生相談

価格: ¥1,155
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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嗤うべき「革命政党」の斜陽 ★★★☆☆
評者は共産党が非常に嫌いである。
共産党は規約の第十七条で「全党の行動の統一をはかるためには、国際的・全国的な性質の問題については、個々の党組織と党員は、党の全国的方針に反する意見を勝手に発表することをしない」と明記している政党である。したがって、「蟹工船ブーム」には少し危惧を抱いていたが、なんのその、共産党支持者には深刻な問題に違いないのだろうが、下のような大真面目な相談内容は、下手なコントよりはるかにへその茶を沸かせられる。

Q.なぜ「赤旗」がそんなに大事なのでしょう。
A.・・・共産党の収入の約八割は、「赤旗」の売上です。

Q.一年中党へのカンパばかりで生活が大変です。
A.生活に無理が生じるようなカンパはすべきではありません。無理がない範囲で貢献すればよいのです。

Q.新聞の拡大でも選挙活動でも、とてもついていけないのです。
A.集金できなかった新聞代を立て替えて無理をするようなことは、できるだけ早くやめるべきです。・・・あなた自身の身の丈に合った党への貢献をすればいいのです。
・・・志井質問に共感をした人が多かったからといって、その人たちが「赤旗」を取るかどうかは、まったく別次元の問題です。

Q.どうすればうまく入党を決意してもらえるのでしょう
A.・・・いま共産党が重視している「憲法九条を守れ」「消費税増税反対」「後期高齢者医療制度をなくせ」「福祉優先の地方政治を」などというのは、別に革命政党でなければできないことではありません。


筆者は「科学的社会主義や民主集中制など、それこそ政治路線まで含めたすべてにわたって見直しをするぐらいの、思い切った党改革が必要になっているのでは」という。どうも共産党への愛着が捨てられないようだが、筆者も分かっているはずである。政治路線が変われば、共産党の存在価値は完全に消滅することを。筆者の期待とは正反対に、同党の不可避的頽廃が見えてくるという意味で、価値ある著作である。
衰退と崩壊に向かう日本共産党 ★★★★★
悩める日本共産党員のための人生相談
衰退と崩壊に向かう日本共産党の姿が手に取るように分かる。今後、一時的に選挙で躍進することがあっても、日本共産党の長期的崩壊はさけられないであろう。そして日本共産党という妨害物がなくなった日本に、新たな革命的左翼が登場するのだ。
多くの党員たちのナマの呻吟が聞こえる ★★★★★
 この本には、「現場のナマの声」というか、苦しみ、悩みが織り込まれています。僕も20年近く党の専従をやっていましたが、今も働いているかつての同僚たちを含め、党内では経済的困窮に悩みながら、「10年1日」の如く「赤旗」が減っても選挙に負けても真剣な総括のない責任逃れの幹部の発言に振り回されているようです。僕は、数年前におさらばというか、幹部の逆鱗にふれて辞めさせられたのですが。
 たぶん、この本に出てくるような不本意に党を辞めさせられたり、辞めざるを得なかった人は相当な数にのぼるでしょう。そうしたいわば「ヤメ共」の人々が、自分の党員時代の生活を見直しながら、誇りを取り戻して地道に生きる道の建て直しをしていく上でこの本は糧になるのは間違いありません。
 現職の幹部時代の筆坂さんは、硬直した幹部ではなく、どちらかというと話のわかる、現場の痛みのわかる人だったと思います。だからこそ、国会質問でも理屈だけでなく血のかよった気迫で人をうならせることが出来たのでしょう。
 現在の共産党で、党員や支持者の相談に本にあるような形で真摯に向き合ってくれる最高幹部が一人でもいれば、状況が大きく変わるんじゃないでしょうか。「蟹工船ブーム」で「共産党追い風?」などといわれる折、共産党の実情を知る者として「唇さみし」と感じています。しかし、もっと背伸びせず足元から見つめた真の共産党像を明らかにしてこそ、本当に国民の中で活動していける党になるでしょう。筆坂さんの本を読んで、そんなことを考えました。
無理をしている党と党員の実態 ★★★★☆
日本共産党の内部がどういうことになっていて、どういう問題点があるかというマクロなことにご関心のある方は同じ著者による『日本共産党』を手に取られるのが良かろう。本書は、『日本共産党』と被るが、党員、特に末端党員からの相談という形でより具体的に問題点に迫っている。党員は、高齢化と党の無茶な方針と機械的な活動により大いに疲弊していることが分かる。選挙ごとに10万円カンパしている党員、自分の時間が全くない党員、病気でも赤旗を配達する党員など。かつて勢いの良かった時代の活動の形式が残り、党勢の衰えた現実を無視しているところに無理がある。情勢に応じてレーニンや毛沢東が活動スタイルを変えたようなしなやかさが党には求められると改めて感じた。