キャリアはおおむね偶然により決定されるものである。だから、最初から「目標」をきっちり定めてそれ以外にはわき目も振らないよりも、当然戦略的なスキルアップはいるが、より広いスタンスで大きくゴールを捕らえて、半径3メートルの中で生まれるチャンスをとらえていこうというメッセージである。

特にスキルを「会計」「語学」「IT」といった技能より、「異なるグループの人が意見交流できる場を作る」といったプラットフォームスキル、さらには「一緒にいると心地よくなり、人をひきつけ、会った人が好きになってしまう」人間力がすべての基礎であるという。

本書を読んでどれもストンと心に落ちてくるし読みやすいのだが、「得意分野を２つもて」というアドバイスについて、著者は「金融」と「IT」だったとするあたりには、どちらも高付加価値の分野であり、事例にあげられているのもIT関係が多く、そのような分野以外でも著者の「アライアンス自分成長戦略」が成功した具体事例をもっと読みたいところである。

タイトルどおり、「成長するためにすべきこと」をテーマに色々と書かれています。30分ほどで読めます。

書かれていることについては、同意できますし、成功されたビジネスマンとして良いモデルであることは
否定しません。これが10年前に書かれた本なら、その頃なら価値は感じられたかもしれませんが、
最近の「ビジネス本」としては新しさが無い。つまりある程度勉強している人には
得るものは少ない。

さらには著者の一番のキャリアアピールである部分に関するところでも
「〜のようにしましょう。私がお財布ケータイを成功させたのもこのおかげです。」
「〜をしてみましょう。私がお財布ケータイを成功させたのもこれをしたからです。」
とクドクドクドクドとお財布ケータイを成功させたことを繰り返し書かれていますが
それを具体的にどのようにしてなされたのかが述べられていません。

ユニークだったのは、企業戦略を自己成長戦略として応用しようという考え方でしょうか。
例えば、コスト戦略を個人に合わせると、いかに少ない給料で、短時間に成果をあげられるか。
ブルーオーシャン理論なら、ライバル同僚のいないポジションでオンリーワンの評価を受けよう。
みたいな感じです。

自分がすべきことが何もわからない人、社会人１〜２年目の方、普段ビジネス本などを読まない方には
多くのビジネス本のエッセンスが詰まった本として、良いかもしれませんが、ストーリー性や
楽しさが全然ないので、あまり記憶に残らないと思います。

これを読むなら、ダンＳケネディの「大金持ちをランチにさそえ」やトムピータースの「サラリーマン大逆襲作戦」
あたりが、書かれていることは同じですが、より楽しめます。

設定した目標から逆算し、１週間単位、１日単位の計画をつくるといった
最短距離を目指すキャリア戦略もあるでしょう。しかし、筆者は、それでは
「柔軟な気持ちを失い、隠れたチャンスを切り捨ててしまう」と言っています。

代わりに、寄り道をしながら、ひとつの方向性を定め、自分を高め、
まわりにアピールして、流れを味方につける「アライアンス自分成長戦略」
を提唱します。

ポイントは、
1.　ユニークな人材を目指す・・・ブルーオーシャン戦略他
2.　目利き力をつける・・・・・・幅広い人脈をつくる
3.　人間力を磨く・・・・・・・・セルフコントロール、アライアンス
4.　やりたいことを明確にする・・マインドマップ、履歴書をつくる
の４つです。

カツマー的にいうなら、Giveの５乗といった手法とか、セレンディピティー
を高めるといったことが内容的に近いでしょう。

読めば読むほど新しい発見ができる、そんな奥の深い本だと思います。

色んな人と、協力関係を築ける方法を、すぐに始められるやり方を
中心に教えてくれています。

他にもオンリーワンの存在になるための方法も、MBAスクールなどで
習いそうな企業戦略（ブルーオーシャン戦略など）にあてはめながら
解説をしてくれているので、よりおもしろい内容だったと感じました。

著者は「ミスターおサイフケイタイ」で有名な人。現在、コンサルタントとして活躍中です。
本書は自分の進む道を見つける為の短期・長期の考え方/作戦を教えてくれます。

　　１．自分のブランド力を高めろ･･･周りを巻き込み、急がずじっくりと
　　２．ユニークな人材を目指せ　･･･他の人と差別化する独自性を持て
　　３．やりたい事を明確に　　　･･･本当に好きなこと、自分で実際わかることを選べ
　　４．目利き力を強化せよ　　　･･･情報を咀嚼する為の3つの習慣
　　５．半径３ｍから始めろ　　　･･･アウトプット指向、コミュニケーション能力、人間力　等
　と盛り沢山です。

「半径３ｍから」というのが、本書の特長でしょうか。
取り立てて際立った内容ではありませんが、著者の体験を踏まえた実践的内容が豊富です。
仕事・生き方の方向性を考え直したい人にお薦めです。