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柳生十兵衛七番勝負 (文春文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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確かにおもしろい! でも、ね…… ★★★☆☆
柳生十兵衛七番勝負という本がドラマ化されたのを噂で聞いて、ひねくれている私はドラマを見ずに本を読みました。
さて、柳生十兵衛といえば私のイメージは山田風太郎の『魔界転生』をはじめとする十兵衛三部作なのですが、この本の作者は山田風太郎とは違う十兵衛を描いています。
読んでいてすぐに直感するのは、この作者は柳生新陰流を深く知っているということです。剣の基本も知らずに本を書く小説家が多い中、この本はかなり真に迫る描写を持っています。好印象です。
ただ、柳生の剣を知るあまり、それに縛られているように見えてしまいます。
わざと隙を見せて相手を誘う『迎』から、間合いを見切って敵の手首を斬る『合撃』……これが十兵衛の基本戦略であるのですが、こればっかり見せられると三回目くらいで飽きが来ます。
ついでに、主役の十兵衛がばったばったと敵を倒すことにカタルシスを感じる人ならよいのですが、基本的に格下相手としか戦わないので緊張感とかありません。
あと、戦闘描写はお世辞にも上手いとは言えず、時代の描写ももっと引き締めないとだらだら感がありますし……
とてもおもしろい名作だとは思うのですが、剣豪小説というよりも水戸黄門みたいな感覚で読むといいと思います。