ものたりない・・・
★☆☆☆☆
近未来の政府公認の犯罪者処刑組織。
主人公は、過去に神父の実父に性的虐待を受け、その父が目の前で自殺したことから、接触障害と血液恐怖症と言う後遺症を持っている。
それでも、それを克服(?)し、冷静沈着な幹部として指令を出す。
題材としてとても面白そうだと思ったんですが、なんというか、ものたりない。
憎んでいる男から、二人の息子(養子)を取り戻すために、ワザと事故を起こすような人物のはずなのに、自宅マンションへの侵入を何度もやすやすと許して、何の対策も講じない。
侵入者にも気付かず、ケーキスタンドを投げつけると言う少々情けない感のある抵抗・・・
冷静沈着、毒舌はどこへやら。
雪見障子一枚隔てただけの状態で、声を聞かれていないと思うというのは、どこまで物を知らないんだと突っ込みたくなりました。
養父、恋人、義息子二人に守られていることにも気付かず、誤解だけで壁を作り、結果、足を引っ張る。主人公の当初のプロフィールはなんだったのか?
濃厚なセックスシーンでお茶を濁されているような気がしました。
背景も、キャラクターのプロフィールも申し分なく面白そうなのに、物足りなさだけが募りました。
不幸体質な桜庭
★★★★★
以前、新書で発行されていたものの文庫版で、同じく文庫化されている「背徳の聖者たち」の続編です。
前作のラストで、愛を確かめ合った桜庭と鷹司。
しかし蜜月は束の間で、とある事から自分の力を鷹司が見下していると思った桜庭は、鷹司を拒絶。
もちろんそんなことを黙って許すような可愛い性格の鷹司ではないので、またも桜庭は捩じ伏せられるのですが。
意固地になる桜庭と、あいかわらずの執着を見せる鷹司。
そんな中、やはり不幸体質なのか桜庭はまたも事件に巻き込まれてしまいます。
Hシーンに関しては、前作では鷹司とその「使徒」ドールと桜庭の3Pが多かったのですが、
今回はドールと、桜庭の「使徒」の龍星とルキアの絡みが多かったです。
ただやっぱり桜庭は、事件に巻き込まれた先で様々な男たちに陵辱されてしまいます。
ストーリー的には、前作よりも「タリオ」という組織設定が生かされている作りになっていると感じました。
前作と同様、不特定多数とのHシーンやカップリングにこだわりがなければ楽しめると思います。
また、Hシーンはありませんが、桜庭と鷹司が「タリオ」の仕事をしている短編が「邪香草」という文庫に
収録されています。二人が気に入った方には、こちらもオススメです。
ちょっと可愛らしい二人の関係が垣間みられます。