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残花亭日暦 (角川文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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気張らんと まあぼちぼちに いきまひょか ★★★★★
著者であるおせいさんのユーモアに包まれた喜怒哀楽がしみじみと心に染みいる佳作。

38年間の人生を共にした「かもかのおっちゃん」に、1年かけてゆっくりと別れを告げる日々を、折々の出来事や考えたことを織り交ぜながら書き留めた飾らぬ心情の吐露が凝縮されています。愛する人を失うことはとても辛いことですが、その死が突然ではなく時間をかけてゆっくりと訪れることによって、残される本人が少しずつ少しずつ、その死を受け入れていく様が心を打ちます。おせいさんの好きな川柳「遠き人を北斗の杓で掬わんか」に込められた思いのなんと愛情深いことか。

折々に挿入されている神戸や大阪の昭和時代の歴史、源氏物語や百人一首に関する一言一言がとても素敵です。私が小中学生時代の週末のサイクリングの集合地点としていた大阪城公園の〈教育塔〉が、昭和9年の室戸台風で犠牲になった教師・児童の慰霊をきっかけとして建てられた事なども、恥ずかしながら本書を読んで初めて知りました。

では皆さん『気張らんと まあぼちぼちに いきまひょか』
あこがれの夫婦 ★★★★★
田辺さんの川野さんに向ける深い愛情をひしひしと感じました。ウチもこんな夫婦になれればいいな、こんな風にどちらかがどちらかを見送ることが出来たらいいなと思う本でした。
愛する夫を送る妻・田辺聖子の日記 ★★★★☆
女流作家・田辺聖子さんが病にたおれた夫を送るまでの日記。と書くと、重ための
介護日記みたいなのかな?と思っちゃうのですが、ユーモアは絶対に欠かさない。
それが、この作家さんの品格だと思う。「かわいそに。ワシは あんたの。味方やで」と
いうのが夫が田辺さんに残した遺言。「守ってあげる」なんていえない世代のご主人にしたら
最高の愛の言葉だ。ご主人の葬儀のときの、田辺さんの作家仲間の弔電や
弔辞がすばらしくて、読んでいて泣けました。そして田辺さんの喪主挨拶も。
このへんの場面は、実際のお葬式について描かれているのに、何かすごい
小説を読んでいるみたいな緊張感がありました。
心に沁みる一冊 ★★★★★
田辺聖子さんは軽妙なエッセイで、いつも読者を楽しませてくれるが、この一編はホロリとさせられる。ご主人の闘病、看護そして死まで、暗くならない、しかしジーンとくる一冊。夫婦はいいもんだ。歳をとるのも悪くないもんだ。と、言い聞かせてくれるような暖かい本。おせいさんの好きな燗酒のように、心に沁みてくる。
カモカのおっちゃん、天へ行く ★★★★★
残花とは散り残った花のこと。残花亭とは人生を幾分か過ごした著者が我が身に冠した粋な屋号である。
この本は、“カモカのおっちゃん”として有名な著者の夫の最期を記したもの。

田辺聖子氏による喪主挨拶の文面を二年前の文藝春秋掲載時に目にし、おっちゃんのエッセイは未読だったが、滋味あふれる文章から浮かび上がるカモカのおっちゃんの人柄にふれ、涙がこぼれたのを覚えている。

今回はその文章も巻末に収録されているが、何気ない日常に始まり、発病からのいきさつをつぶさに知って読むと、胸がつぶれる程の感慨を持って迫ってくる。
ぬいぐるみたちとの会話も、読み始めには違和感を持ったがやがて溶け合い、聖子氏の公の顔と私の顔をつなぐ貴重なメタファーだとわかる。

“神サンは悪人、現世は苦役”と笑い合う夫婦の、人柄と人柄が織り成す人生の綾は、濃く深く厚みがあり多くの友に彩られている。