理屈抜きに楽しめる
★★★★★
「ウルトラマンのできるまで(S63刊)」と「ウルトラマンに夢見た男たち(H2刊)」を一冊にまとめ、「ウルトラマン誕生」と新しいタイトルをつけて文庫化した作品。作品の解説ではなく、当時の製作者の情熱や意気込み、制作の苦労や工夫など、いわゆる裏話的な内容が中心となっているのだが、実に興味深くおもしろい。
ウルトラマンが後世に引き継がれ続けている理由は、あくまで子供向けに制作されつつも、多くの問題提起を含んだ大人の目線でつくられた子供向けの作品であったことと同時に、怪獣そのものに魅力があり、大人の視点で考えることをしなくとも純粋に楽しむことが可能だったことも大きいと思っていたが、この作品を読んで改めてウルトラマン制作にかかわった人達に才能があったことは間違いとはいえ、最終的にはそれを生かすのは好奇心と情熱であり才能はそれを手助けしたに過ぎないという実に教科書的な感想を持った。
マニア的なファンではなく、幼い頃に“普通”にファンだった人の方が楽しめるような気がする。ウルトラマンに代表される特撮ものを視ていた世代であれば、理屈抜きに楽しめる一冊。
特撮時代の入門書
★★★☆☆
2006年に亡くなった
実相寺昭雄さんの本ということで買ってしまった。
ウルトラマン時代の円谷の懐かしい話が満載なので、
特撮心は満足するのだが、
エピソード的には知ってることの方が多かった感じ。
一種、異様なものを持っている実相寺さんのキャラを
この本にも期待していたのだが、その辺は、ちょっと不満。
特撮の見方が変わります。
★★★★★
ウルトラマンに賭けた男達の情熱が伝わってくる1冊です。これを読むと、「特撮は、所詮、着ぐるみ。」という見方から、「特撮は、実写やCGではなく、着ぐるみとミニチュアだからこそ、面白い。」という見方に変わります。円谷一氏や金城哲夫氏といった面々から、着ぐるみに入る俳優さんまで、大変な意気込みと苦労があったということが分かります。この本を読んでからウルトラマンを改めて観て、その細部まで緻密に考えられた流れに感じ入ってしまいます。背後にあるアイデア(製作者側がやりたかったこと)も考えながら、観てしまいます。著者が監督した「地上破壊工作」と「故郷は地球」も、何度か観てしまいましたが、共に画面の構成や音楽の使い方などのアイデアが溢れていて、見事な傑作だと思います。「故郷は地球」は特に好きです。巨大ヒーロー物の特撮に興味のある方は必ず楽しめる著作だと思います。
2冊分の合体です。
★★★★★
この本は、「ウルトラマンのできるまで」と「ウルトラマンに夢見た男たち」をウルトラマン生誕40周年に合体させたもので、2冊分を1冊にまとめたものです。
「ウルトラマンの東京」は単体で刊行されております。
内容は文句なしです。
読みやすく、謎が解けた
★★★★★
ウルトラマンにとても強く思い入れがあって手に取ったと言うより、当時のぬいぐるみのしくみや、オープニングの
作り方の裏方部分が書いてあるので、”読んでみよっかな”と好奇心で買ってみました。
”ウルトラマンの東京”と”ウルトラマンのできるまで”、”ウルトラマンに夢見た男たち”をウルトラマン生誕40周年に
合体させ、3冊分を1冊にまとめたものです。
思い入れのある思い出話をする場合、作者の暴走で読みづらくなりがちですが、これはかなり平易で
読者に配慮があり読みやすい部類です。解説図を含む挿絵も多いので、約400pと厚みはありますが、すんなり読めました。
いやあ、やっぱ現場で身体で培うものって大事だよなぁ、と思わせます。納期と予算のせいか、安易なCGで平べったい作品が
氾濫している中、是非いろんな人に読んでもらいたいですね。