甘く美しい葉加瀬太郎の音の魅力
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彼の音色は甘く躍動的で、どの曲も引き込まれるような魅力に溢れています。音大で教えられている教科書的なクラシック奏法ではなく、自分の感性を最大限に尊重し、息遣いを大切にする演奏ですから、このように魅力的なアルバムになるのでしょう。流れてくる音楽を聴いて、聴き惚れるようなヴァイオリンの音色の持ち主はそうありません。クラシックのジャンルでありながらジャズの要素も持ち、リズムの切れ味と躍動感が他の奏者とは一味違います。
「タイースの瞑想曲」はセミ・クラシックのアルバムの代表曲でしょう。純粋なクラシック・テイストとは違う選曲の方が個性に合っており、伸びやかで透明なサウンドに好感が持てます。
エルガーの名曲「威風堂々」を取り入れた「栄光への道」はいいですね。彼の大らかなヴァイオリンとこの曲が良く合っています。イギリスでは第2の国歌と言われていますが、彼のロンドン滞在で何かしらインスパイアされたのでしょうか。
東洋の揺らぎが感じられる「エイジアン・フロウ」が好きです。日本の伝統楽器である尺八や琴がフューチャーされています。西洋音楽にない浮遊感、和の旋律、優しさと懐かしさが込められた音楽ですから、ヒーリング効果もあります。NHK「日めくり万葉集」のテーマソングだそうで、イメージとしてぴったりです。
「ふたりのクロスロード」はアイルランドのフィドルのイメージでしょうか。曲の作りも音の雰囲気も楽しげで、踊りたくなるような曲です。これもロンドンでの生活から得たものなのかもしれません。
「見上げてごらん夜の星を」は温かく優しい音楽でした。歌っているかのように聞こえるヴァイオリンの響きで、天国の坂本九さんへのレスペクトが詰まっていました。
クラシックとしては邪道。でも素晴らしい。
★★★★★
題名がクラシカル・チューニングとなっているので、葉加瀬さんがクラシックに手を出したかと思いきや…アレンジ(というか伴奏)がオーケストラになっているだけのようです。
収録曲の中でクラシック音楽も前奏曲とアレグロ、タイスの2曲くらいですし。
クラシックとして聴けば、このCDは邪道です。
よく、葉加瀬さんが「クラシックは聴けたもんじゃない。彼の音楽はイージーリスニングだ」とクラシック評論家などから言われているのが少し理解できます。
クラシック音楽において、楽譜に従うこと、作曲家の意図を表現するということは原則になります。もちろん、そこに自分の解釈などを踏まえて多少はずれることはあっても、それには音楽理論に基づく理由付けが必要で、自分の感性で好き勝手弾いていいものではありません。クラシック音楽とはそういうものです。
そういう意味でいえば、クライスラーもタイスも聴いていて突っ込みたくなるほどに「葉加瀬さん節」が展開されていて、クラシックとしては失格なんでしょう。
しかし、恐らく葉加瀬さんはこれらの曲を「クラシック音楽として」は弾いていないと思います。あくまで、葉加瀬さんが好きな音楽を、葉加瀬さんのやり方で表現しているのだと思います。
前奏曲とアレグロは私の大好きな曲で、よく聴いていますが、葉加瀬さんのはクラシックとしてはとても聴けたものではない。しかし、クラシックとしてではなくひとつの音楽として聴けば、らしさが出ていてとても素晴らしいと思います。
クラシックをクラシックとしてでなく一つの音楽として、クラシックになじみの無い人でも普通に聴けるように提供した葉加瀬さんに拍手です。
食わず嫌いで聴かなかった
★★★★☆
「葉加瀬太郎=情熱大陸=商業路線指向」みたいな勝手なイメージが私の中に長年あり、意味もなく敬遠してきました。
今回なぜとはなしに惹かれるモノを感じて聴いてみたら予想外に良かったです。
弦楽器の中でもヴァイオリンは弾き手の個性が強烈に反映される為にどうしても演奏家のスキル(技術だけでなくつま弾きや余韻などを含めて)で好みが反映してしまいます。
私個人は諏訪内晶子さんの奏でる音が大好きでして、彼女とは大きく異なる弾き方ではありますが良い意味で厳しい批評家の「彼の音楽はクラッシックではなくイージーリスニングだ」という意味が感じられます。
嫌みが無くそつもない。
それでも日本人であるという立ち位置を軸に真摯に音楽に取り組んでいる姿勢を感じられて堪能できました。
私同様に「葉加瀬太郎はメジャー狙いでちょっとなァ」と敬遠してきた方にもお勧めです。
毎晩のように聞いてます
★★★★★
ハカセさんのCDは何枚は持ってますが、このCDはその中でも気に入ってます。
12曲と曲数は多くないですが、夜寝る前のBGMにはぴったりです。
1歳5ヶ月のうちの子どもの子守唄にもなってます。
「クラシック」すぎず、ききやすいアルバム。
★★★★☆
私はそんなにクラシックを聴くほうではないが、そんな私でも比較的ききやすいアルバム。
単純にクラシック風なオリジナルでなく、ポップスよりなアレンジも見せてくれ、多彩な人だとよく分かる。
ライヴを観に行ったが、ライヴにキレを見せる人なので、ライヴ盤の購入やライヴへ行くことを個人的にはオススメする。