耕衣の大晩年
★★★★★
耕衣にとって定年とは飛んでいる飛行機のエンジンを全開し思い切って出力を上げることを意味した。
退職後の人生が長く晩年まで一年一年成長し開花し続けた。
この本に散りばめられた言葉をランダムにあげる。
マルマル人間。出会いは絶景。雑談布施。手習いでなく眼習い、白隠に肉迫する。
書のどこをとっても精神のたまり場でなければならない。生命の根源に参入する句。
人生を爆発するように生きたい。清忙。孤独の賑わい。人間が作品である。
文章を書くことも身心脱落の途である。平凡な生き物が親しく生そのものを見せてくれる。日常そのものこそが生死。衰弱のエネルギー。
芳醇な晩年が見えてくる。
城山三郎という人を得ていい本に出来上がっている。
最後に、「秋而今生亡妻ぞうつくしき」を。