キーワードは "持続性"と"循環"
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日々メディアを賑わす遺伝子組み換え食品やバイオ燃料、食育や地産地消などのニュース。それらは単体で存在しているのではなくて、すべて融合し合って有機的な結合体を構成している事実を、本書は端的に示してくれる。
都心の高層ビルの一室で水溶栽培される野菜は単なる話題作りなどでは勿論なくて、世界規模の大きな背景があることを本書より窺い知ることができた。本来は良いとされる自由貿易やグローバリゼーションなどだが、現代の営みが生み出している生活モデルは、我々の世界を循環不可能で歪なものにどんどんしていることを、表層の次元においてのみだけれども私にも良くわかった。
100頁にも満たない本書だが、そのコンテンツは大変に凝縮されており、かつ読み易くもある。社会人として必読な内容といえるが、もしそれでも時間がないなどの理由によって目を通すことをためらうのであれば、せめて最後の3頁"むすびに"だけでも読まれることを提言したい。