いちばん大事なところがすばやく理解できます
★★★★☆
「人類の進化」に関する話題は化石人類の発見だったり、人種の話題だったり、日本人のルーツの話だったり、あちらこちらに飛び火する話題が多く、情報の洪水に埋もれてわけがわからなくなってしまいがちです。また、斎藤成也氏のゲノム進化学の本は専門的すぎて一般人には歯が立ちません。
それからすると、本書は第1章・第2章で分子進化学の根幹を簡単に紹介してしまっています。そして人類といえども動物ですから、第2部では動物の一員として霊長類が進化するまでの生物の歴史にふれています。通常の「人類の進化」の本は「サルからヒトへの進化」あたりの話から始まるのですが、この本はようやく100ページくらいからその話題に入ります(もう本の半分以上です)。そして、人類の分岐と系統に関するもっとも有力な理論が中心に展開されます。とても見通しがよくなる本だと思います。絵はイラスト風に描き直されていますが、原図をもっと利用したほうがよかったと思います。