円月殺法の、柴田錬三郎であるぞ。
★★★☆☆
「柴錬」と言えば眠狂四郎だが、そのキャラクター性は認めるものの、小説のレベルとしては如何なものかと、
常々思っていた。
本書でも、最初のページから、意味不明の文章が出てくる。
しかし、これらの短編が、週刊誌に毎週連載、しかも読み切りでとなると、「大したモンだ」と
悔い改めざるを得ない。
と言ったところで「よくもまあ、毎週毎週書けるねぇ」という程度ではあるが‥。
やはり、月に千枚二千枚書かないと、ベストセラー作家にはなれない、というのは本当なんだ!と感心した。
表現について、最後にめくら、きちがいなど、差別表現についての断りがある。このあたり、三十年余の
時差を改めて感じるが、さらに、「二一天作の五」「街道をひろっているうちに‥」などの言い回しは
今の若い人には分かるまい、と思うと、寂しい気もした。