百人一首ものがたり: 第四十一話から六十話
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この作品は百人一首のそれぞれの歌を題材にした短編小説集である。2007年から「漢方医薬新聞」に隔週で連載され、2012年に完結したが、その後、紙媒体で出版されることなく長らく幻の著作となっていた。
百人一首はいうまでもなく、平安時代末から鎌倉時代始めを生きた藤原定家が、7世紀後半の天智天皇から13世紀前半の順徳院までの100人の歌人の歌を1首ずつ集めた歌集であり、江戸時代にはカルタとなって庶民にも親しまれるようになった。日本の王朝時代の幕開けから黄昏までをカバーする一代歴史絵巻である。
このたび「百人一首ものがたり」を電子書籍化して出版するに当たり、あまりに膨大な量なので、5分冊とすることになった。各話の最初には著者が墨絵で描いた歌人の絵にCGで背景をつけたものが挿入されている。小説の内容は、それぞれの歌の解説というよりも、その歌が詠まれた時代背景を登場人物の会話の中から浮かび上がらせるような構成となっていて、歴史の教科書としても十分に楽しめる内容である。また巻頭には編集者が作成した関連系図が収められており、複雑な人物関係がわかりやすくなっている。
第三巻には、第41番の壬生忠見から60番の小式部内侍までが収められている。百人一首の世界をより深く楽しみたい方はぜひご一読を。