ミステリーを通じて沖縄を知る
★★★★★
鉄道を題材にしたミステリーが多い著者にとって、沖縄が舞台となる作品は多くないと思うので、貴重な作品だ。
沖縄の風景や文化、歴史、沖縄人の気質などがよく描写されており、モノレール開通に関する逸話も登場する。米軍基地の話も出てくる。ミステリーを通じて沖縄を知ることができる一冊だ。
なお、光文社文庫からの著者の作品が100冊を突破したのを記念して、巻末にインタビューならびに全著作リストが付いている。これらもファンにとっては貴重である。
この程度ですか。
★☆☆☆☆
ベストセラー作家にして、長者番付の常連の著者の作品がどのようなものか、
初めて読んでみたが、酷い内容であった。いくら小説とはいえ、偶然性が
極端だし、オキナワの問題にしてもそれほど深く取り入れられているとは思えない。若手の真保裕一や高嶋哲夫らに比べたら、もう一時代前の終わった作家だなあと思ってしまう。
十津川警部達の強い正義感
★★★★★
今回は美しい海・島々とそれとは正反対の米軍基地という明と暗がある沖縄が舞台になっています。
沖縄の美しい風景なども描きつつ、戦争が残した『傷』にも十津川警部は触れています。そんな中で起きた事件で地位協定や治外法権などの厚い壁に屈することなく良い意味で公務員らしくない正義感あふれると津川警部とその部下達や沖縄県警が合同で犯人を追い詰めます。
今、沖縄だけではなく日本が抱えるアメリカとの地位協定や治外法権などの国際問題に著者はメスを入れ、十津川警部以外の重要な登場人物にもこの問題を投射させているような気がします。小説としても面白いですが、考えさせられる部分もありました。小説はあくまでフィクションですが・・・